裏木戸通信25号

 

子供の世界

 

子供の頃はヒーローものの番組が好きだった。

おそらく誰でもそうであろう。誰もがヒーローの活躍に胸躍らせ、正義の味方ごっこをした記憶があるのではなかろうか?

特撮ヒーロー物はある面から見れば非常に子供だまし的なところもある。世界征服を狙う秘密結社が、道行く子供を襲ったり、幼稚園を襲撃したり。ヒーローはヒーローでたった一人で戦おうとしたり、変身の時にいちいちポーズを決めてみたり、etc、etc・・・・

子供向けアニメもそうである、ある面勧善懲悪のわかりやすい物語であるが、ある面非常に安っぽい内容でもある、ストーリーも場合によっては、子供騙し以外の何者でもない事もあった。

ある年代まで、これらの番組に熱狂し、そしてその後それらの番組にあまり熱狂できなくなり、それらの番組を見なくなる。

確かに作り手側に、見るのはしょせん子供と言う侮りもあっただろう。しかし一方で子供の視点に立った番組を作ろうという姿勢もあったような気がする。

成長するとこれらの番組を、「くだらない」と言ってみなくなる。しかし一部の人たちは見つづける。いわゆるマニア、今で言えばオタクである。みる事は別に悪い事ではない。私もいわゆるオタクであり、ロボットや、ヒーローなどこの年になっても大好きである。

最近の子供向けの番組も見ることもある。昔のようにいかにも子供向けと言う感じの番組もあるが、一方で、いやに凝った作り、よく言えば、非常に緻密で、考えて作られている番組がある。なぜこのような番組ができるようになったのか。おそらく、マニア、オタクの視聴者の視点に立ち、の意見を組み入れたり、作り手側に、いわゆるその種の人間がいるためであろう。

細かな設定、考えられた展開。確かにみていて面白くはある。しかしこれらの番組、本来の視聴者である子供たちは面白がってみているのだろうか?

面白がってみていると言う人もいる。いや、見ているのだろう。しかし、私が子供のときだったら、今の感じの番組は、よくわからなかったし、楽しめもしなかったのではないか?

では今の子供は、私が子供のときより賢く、理解力があり、番組を見る目が肥えているのだろうか?

そうは思わない。昔の子供に比べて、さほど賢くもなっていないだろうし、みる目が肥えているともまた思えない。

確かに、特撮や、技術は年をおうごとに進化する物であり、子供向け番組とてその例外ではないだろう。しかし、今の子供向け番組は、いわゆる、マニア、オタクの干渉であのような形になった物であり、正常な進化をたどってあのような形になった物ではないような気がする。

子供向け番組はあくまでも子供向けの物である、そこに大人である、マニアや、オタクが干渉してはいけない。マニア、オタク向けのその様な物もあるのである(OVAや、アフタヌーンなどのマニア、オタク向けの漫画雑誌など)マニア的、お宅手にな、凝った設定や、おわべの州共感や哲学などがある作品はそれらのメディアに求めればいいのであって、本来子供向けの物にまでその様な物を求めてはいけない。

子供には子供の世界があるのである。しかし、今の世の中、大人の世界が、必要以上に子供の世界に干渉し、本来子供の聖域であった部分(遊びの時間、授業外の学校での時間など)を犯しているような気がしてならない。

このような考え、見方も大人の勝手な思い込みなのは百も承知だが、やはり子供の世界へは、それなりに敬意を持ち、その権利を認めるべきだと思う。子供の人権どうたらこうたらと言う前に。

 

五人揃ってゴレンジャー