裏木戸通信33号

 

 

読売グループに物申す

 

2月1日、今世紀最初のキャンプが始まった。あいも変わらず巨人中心の報道にウンザリしながらこれを書く。

去年、圧倒的な金銭力で優勝を購入した巨人。今年もV2と鼻息は荒い。

ここのところ野球に関するニュースが色々とでてきている。「オリンピックに協力するのなら、セリーグから出て行け。」との賜ったあの御方が、その下の根も乾かないうちに、オリンピック協力に前向きな姿勢を示し始めた。

「高校生の逆指名と引き換えに、オリンピックに協力する。」

「長嶋を日本代表の監督に・・・・・・」

この発言判りやすく言えば、「我々、天下の巨人軍が協力してやるんだ、協力してやる代わりに、高校生の逆指名を認めて、長嶋を日本代表の監督にしやがれ。」と言うことだろうか?

頼むからそれだけ早めてもらいたい。長嶋監督は、確かに日本では超がつくくらい有名な人間である。しかし、全世界では違う。長嶋監督が、素晴らしい選手だったことは万人の認めるところである。しかし、彼の監督としての能力は、選手としての能力に遠く及ばない。

仮にも、オリンピック代表の監督である。世界から見れば、日本最高のレベルの監督が指揮をとっていると思われる。長嶋氏が監督になってしまったら、「日本最高レベルの監督とは、あの程度か。」等と誤解をされてしまう。オリンピック代表の監督は、お願いだからもっと監督としての適正な能力のある人にやってもらいたい。

高校生逆指名、これもよくない。こんな事をするぐらいならば、ドラフトそのものをなくしたほうがよい。ドラフトの本来の目的は、戦力の均衡化により、ゲームを白熱させる事の筈である。

FAの導入。逆指名の導入。巨人有利の試合日程。

こんな事をするぐらいなら、いっそ選手獲得の完全自由化、プロレスのような出来試合にしてしまえばよい。こうなれば特定の球団だけに戦力が集まり、特定の球団だけが優勝しつづけ、野球がつまらなくなる事請け合いである。そうすれば野球人気は低迷し、サッカーなど、他のスポーツに客を奪われプロ野球そのものが成り立たなくなるであろう。そうなれば、さすがの野球関係者も本当の危機意識を持ち、体質改善に乗り出すだろう。

今のまま、特定球団に引きずられてずるずると制度を改悪していけば、プロ野球そのものがなくなってしまうのではなかろうか。

巨人、大鵬、卵焼き。の時代は30年前に終わっているのである。

スポーツ=プロ野球。娯楽=野球。の時代でもないのである。

特定球団の親爺達にずるずると引きずられ、いいように引っ掻き回されているから、将来のプロ野球人気を支える筈の若い人達が、どんどん野球から離れていくのである。

先日日テレの社長が、Jリーグについて批判したそうだ。スポンサー企業の理念が反映されないのは商法に違反するとか言って。この裏には、サッカー界も野球界と同じように支配しよう、プロ野球のように、読売グループの意のままに操ろうとする意図が見え見えである。

悪い事は言わない、そんな虚しい夢、野望はさっさと捨てる事をお勧めする。サッカーは野球と違って、FIFAの下に強力な組織が出来上がっているのである。たとえ島国日本を支配できたとしても、世界は支配できない。何しろ、FIFA内の日本の発言力など微々たる物である。例え日本の中で好き勝手に制度を変えようとしてもFIFAが認めないだろうし、だいたい選手が、海外のクラブを目指して日本をさっさと出て行ってしまう。

野球で読売の支配が確立できたのは、メディアを握っている強みと同時に、日本の野球界が鎖国していたからである。広い世界に目を向けさせず、狭い国内だけに目を向けさせ、その狭い世界の中の強さだけを追い求めてきた。それが功をそし、巨人が球界の盟主になる事が出来た。しかし、野茂が大リーグに行って活躍をして、鎖国体制を打ち破った途端、有力選手は皆海外に行ってしまっている。しかし、残念ながら、この流れにいち早く対応して何とかし様と言う動きは野球界には見られない。

逆にその様な現実に目を向けず、野球界への更なる支配力強化、サッカー界への支配力狂化に乗り出そうとする。日本国内という狭い世界のさらに狭い野球界を支配できぐらいで舞い上がってしまっている。なんだか哀れな物である。まるで、アジア唯一の独立国というだけで舞い上がり、自意識過剰になり、世界を相手に戦争をして、国民に塗炭の苦しみを味あわせた、戦前の日本の指導部を見ているようである。

野球界の指導部の皆様方は、ファンの声に紳士に耳を傾けて欲しい。

 

21世紀最初の優勝チームが巨人でない事を心の底から祈ります。