裏木戸通信37号

 

音 楽

 

私は筋肉少女帯の歌が好きである。いや、好きであったというべきかもしれない。

私が筋肉少女帯にはまったのは、結構年を食ってからである。精神的発育の遅い私は、平均的人間より数年送れているからかどうかはわからないが、とにかく、遅かった。(はずである)

このグループ、大抵「カルトな人気」を誇るグループといわれる。

好きなミュージシャンで、「筋肉少女帯」と答えると、「ゲ」というような顔をされることがある。

確かに彼らの歌は、明るくない。筋肉少女帯の歌には、

「どんなに困難でも愛があれば大丈夫」

とか

「夢をあきらめないで、信じていれば必ず・・・・」

等という、あまあま夢見な歌詞は出てこない。

出てくるのは、つらく苦しい現実、何をやっても上手くいかない人間の悲しみ、そしてそれにもめげずに立ち向かってゆく人間たちの姿である。

甘い夢を語らず厳しくつらい現実を歌い上げる。

ここいらへんが大衆受けしない理由なのかもしれない。

しかし、筋肉少女帯の歌には、「だからどうした。市場に媚を売って、あまあまの夢を歌っていられるか。」というような魂を感じる。(感じない人もいるかもしれないが)

夢を語るものはいくらでもある。漫画にアニメにドラマ。

夢を信じた若者が、結局夢をかなえる、良かった、良かった。

恋する若い娘が、(若者が)ベッピンさんに惚れ、色々あるが、その恋を実現させる、周りもみんなハッピーになってめでたし、めでたし。

現実にはハッピーエンドなぞ、10のうち1でもあれば幸せなものである。妥協無き恋なぞ無い。しかし、その様な、厳しい現実を語る、漫画や、ドラマ、アニメ、歌は驚くほど少ない。

現実が厳しいから、そんな物の中ぐらい夢を見させてくれよ。などと言ってはいけない。夢を見るのは寝ている間だけで十分である。等と、彼らの音楽を聴きながら考えていた(今でも同じようなことを考えてはいるが)

でも最近はかつてほどはまらなくなった。こっちの精神がさらにやんだためか、精神的に、多少成長したためか、これは判らない。しかし、彼らは、このような心情の変化もしっかりと歌い上げているのである。

とにかく筋肉少女帯の音楽を一度聞いてみることをお勧めする。

 

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