裏木戸通信41号

 

セリーグ開幕。

 

今世紀もまた茶番劇が始まった。本来開幕戦は、前年の1位対4位、2位対5位、3位対6位、のはずなのだが、今年はなぜか、開幕戦が、1位対6位と言うありさまである。「伝統の一戦だから」がその理由らしい。戦う前から、「巨人勝利」は言われていたが、やはりそのとおりの結果となった。「17対3」余りに、あまりな勝ち方である。開幕戦だけで、今年のプロ野球を見る気を無くしてしまった。

さて、過ぎたことにぐちゃぐちゃ言っても仕方がないので、本題に移ろう。前回触れたドラフト改革についてである。この制度が、「金満球団に有利な制度である」と考えていることは、前に述べた。今のドラフト制度も、金のある球団に有利である。それをさらに金のある球団に有利にしようとしているのである。

巨人の金戦力にあかせた、形振り構わぬやり方には、本当に腹立たしいものがある。

しかし、「ルールにのっとっているのだから、文句をいわれる筋合いはない。」、「金銭を使った補強も、企業努力」などという人たちもいる。

確かに、巨人の補強は、現行のルールにのっとっている。金戦力は、チームの力のひとつであるとも思う。

しかし、本来、金戦力と言うのは、チームが勝つために考えねばならない、多くのファクターのひとつでしかないはずである。当然プロチームである以上、色々なファクターをあるレベルにまで高めなければならない、その上で、自軍の個性、得意とするところを伸ばすのが本来の道筋のはずである。

しかし、巨人の金戦力に依存しすぎる方法は、余りにも度が過ぎている。また、現行のルールでは違反していないかもしれないが、そのルール自体が、金戦力が有る者にとって有利なものになってしまっている。

余り良いたとえではないかもしれないが、高校入試を例にとって見る。

入試の目的は、合格することである。

そのためには、国語、数学、理化学、社会、英語、学校での勉強、体育、など、みな、それなりのレベルにまずしなければならない。その上で、自分の得意科目、得意な分野をさらに高めると言うのが普通の方法のはずではないだろうか。

英語だけが抜群に出来ると言っても、他の科目が、ぜんぜんだめならば、やはり話にならない。

しかし、此処で、英語が得意なものが有利になるように、英語の配点だけを、他の科目の十倍にする、当然英語が得意なもの、英語圏の国に住んでいたことがあるものが有利になってしまう。しかし、これは公平な競争とは言いがたくなる。本来は、あらゆる科目に同じように重きをおくのが普通である。その上で、入試する者が、全ての学問を、その高校に入るぐらいのレベルに高め、その上で、自分の得意科目に磨きを掛けたりして、不得意な科目の穴埋めをするのが本来のほうではないだろうか?

努力、工夫が足りないと言う言葉は、本来、競争するもの達が、同じ土俵にたった上でいえる言葉である。

しかし、現在のプロ野球の状況は、12球団が、同じ土俵に立っているとは言いがたいものである。

「ルールにのっとっている。」確かにそうだが、そのルール自体が、金のある球団にとってあまりに有利になるように作られているルールである。

メディアの露出と言う面でもあまりにも格差がある。巨大メディアが親会社である巨人のメディア露出度は、尋常ではない。巨人の選手なら、たいしたことのない選手でも有名にな手しまう。逆にパリーグでは、イチロウクラスぐらいにならないと、メディアへの露出は不可能である。

海外では、マスコミが、特定のプロスポーツチームを保有したり、応援するのを禁止するほうまである。言い方を変えれば、それほどまでして、球団間の差をなくし、平等な条件の元競争が出来るように環境を作っているのである。そうすることが、長い目で見れば、そのスポーツの発展のためになることを知っているからである。

「悪法も法」であるかも知れない。しかし、悪法に支配されている社会、組織はいずれ滅ぶ。

今回のドラフトを改革する目的は、プロ野球の人気を回復し、有力選手の海外流出を防ぐのが目的だと言う。

馬鹿ではないだろうか?

プロ野球の人気を回復したいのならば、まずは、全ての球団が同じ土俵に立てるルール作りこそ着手するべきことであろう。それとも、プロ野球を安楽死させようと言う、協会の親心なのだろうか?

ドラフトはやっぱり完全ウェーバー制を