裏木戸通信 70号
傑作と駄作
傑作。
歴史上に残る何か。
エポック的なもの。
ありとあらゆる分野に傑作は存在する。
その分野に於いて歴史を変えたもの、新しい境地を切り開いたもの、性能、能力などが突出したもの。
大抵そういうものに傑作の称号が送られる。
鉄腕アトム、アドルフに告ぐ。
漫画史上に残る傑作ですね。
戦艦ポチョムキン、独裁者、アラビアのロレンス、ゴジラ
映画史上に残る傑作ですね。
DC-3、P51ムスタング、
航空機史上に残る傑作ですね。
T型フォード、フォルクスワーゲン、
自動車史上に残る傑作。
その他、音楽、文学、芸術、建築、あらゆる分野で傑作と呼ばれる物はその名をとどろかせている。
その傑作が、歴史上は足した役割、意味などを考えれば、それは無理なからぬもの。
しかし傑作の影には、数多くの凡作、駄作が存在する。
人間社会と同じである、歴史上にその名を残す、偉人、天才の影には、数多くの凡人、馬鹿が存在するのである。
凡作、駄作は当然歴史にその名を残しはしない。ただ、これらが存在しなければ傑作は生まれない。えてして傑作は、多くの凡作、駄作が生まれた経験、実績、業績などを元に生まれるものである。ここいら変も人間社会ににている。
凡作は、言い方変えれば可もなく不可もないものである。残念ながら、これらは、日常と密着していたり、生活に溶け込んだりするが、これらに興味を持つ人間は殆どいない。
だが、駄作は案外違う。
駄作は、傑作の対極にある、失敗作である。凡作にもなりきれない、駄目なもの。それが駄作である。
そして、駄作が生まれる理由はたくさんある。
何か新しいものを目指したが、目の付け所が悪かった。アイデアは素晴らしかったが、それを物にできるだけの力が無かった。何かやろうとしていたが、いろいろ邪魔が入って、結局失敗した。信念が無くダラダラやっていて、当たり前のように駄作が出来た。情熱はあったが、才能が全く無かった、etc、etc。
駄作が生まれる背景は、色々在るが、駄作も別の意味で、なまじの事では生まれない。
そして世の中には、これらに愛を感じる人間も存在する。
凡作にもなりきれない正真正銘日陰の存在。人間で言えば駄目人間であろう。
でも駄目人間に愛を感じる人はいない、いや、同情する人はいくらでもいるんだけどね・・・・・・