裏木戸通信 83号
日本は世界の中心だった!?
超古代文明。
今から1万年いや、それ以上前この地球上に存在したと言われている
その文明は、今よりはくかに進んだ技術を持っていたといわれている。
しかし、そんな進んだ文明も、滅んでしまい、その後、人間は原始時代よりやり初め今世に至っている。
そして、その超古代文明は、オーパーツとして極わずかにその形跡を残している。
まあ、超古代文明というのは大概こんなものである。
で、日本国内で出される超古代文明関連のものでは、なぜか日本がいい塩梅で世界を支配している。
曰く、超古代日本は世界に中心だった!!
ぞくぞくするじゃありませんか、こんな資源も何も無い極東のちんけな島が世界に中心だった。
曰く、孔子も、お釈迦様も、モーゼも、キリストも日本に留学していた!!
そうだったのか、こんな偉大な人間たちが日本に来ていたのか!!
この手の本を読むと、日本のあまりにあまりな姿にくらくらしてくる。
で、この手の、「日本が世界に中心だった」的な超古代文明説は戦前、日本のナショナリズムの高まりに歩調をあわせるようにあらわれ、そして発達していったという。
常識的に考えれば、
「スギ花粉症は、日本人を馬鹿にするために宇宙人が仕組んだ策略だ。」
と言うぐらい馬鹿馬鹿しい説である。
しかし、この様な、とんでもない歴史を信じる人間が案外いる。
なぜこんな馬鹿なことを信じるのか?
色々な理由はあると思うが、その内の一つは、コンプレックスかもしれない。
いわゆる古代文明の発祥は、メソポタミアと言われている。
そして、歴史で習う、古代文明は、いわゆる四大河文明である。
残念ながら、古代の日本には、縄文土器を作った文明などは存在したが、いわゆる、「高度な文明」は存在しなかった。これは今後、何らかの新発見がなされない限り、歴史的事実のままである。
しかし中にはこの事実に納得できない人間が存在するらしい。
で、そういう人たちが
日本にも、四大河文明以上の文明が存在していてほしい
いや、存在したはずだ。
で、とんでも学説につながる。
日本には超古代文明が存在したと言うこの手の学説を信じてしまう人の心理の裏には、うがった見方になるかもしれないが、中国へのコンプレックスとでも言うのか、対抗心と言うのか、
「中国如きに負けるのは悔しい!!」
と言う心理があるような気がしてならない。(まあ、こういううがった見方をするのもその心理かもしれないが)
しかし、どんなに否定しようとしても、いわゆる、古代、中世頃の中国の文明、文化が、日本の文明、文化、と言わずアジアの文明、文化に大小の差はあれ、影響を与えてきたのは紛れも無い事実である。
そして逆に、近現代の日本の文化は、近隣、アジアの国々大小の差はあれ影響を与えている。これも紛れも無い事実である。
得てしてその時代に進んでいると思われている国、地域の、文明、文化が一番影響力が大きい。
近現代において、欧米の文化文明が、やはり大小の差はあれ影響力を持っているのもやはり事実である。
日本に超古代文明が・・・・・・・と言うのを信じてしまう人達は、これらの事実から目をそむけているような気がしてならない。
事実から目をそむけてはいけない。
事実に目を向けず、怪しげな物でそのコンプレックスを埋めようと言うのは、自陰行為と同じである。
これが個人個人の間ならまだ問題は少ない。
これに類することをナチスみたいに国家ぐるみでやるようになったらおしまいである。
自陰しすぎると、馬鹿になる。と言うことを覚えておきたい。