裏木戸通信 94号
猛虎盛衰
阪神が強い、滅茶苦茶な強さである。開幕から怒涛の5連勝。オープン戦一位の成績といい今年の阪神は、ひょっとしてひょっとするかもしれない。
少々アンチの邪推になるが、「貧乏ヨワヨワ球団をいじめて今年も開幕スタートダッシュ。」等と目論んでいたかも知れない、在京球団の目論見は外れたことになる。何にせよ、「金の力が全てではない」と言う事を証明してくれた阪神タイガース。有難う、溜飲が下がりました。
闘将星野監督になり、チーム全体が生まれ変わったようである。
先の事は判らないが、もし阪神が優勝したらその経済効果は計り知れないものがあると言う。確かに、1985年以来の優勝となれば、その経済効果は、結構期待できるかもしれない。少なくとも在京球団ズが優勝するよりは、経済効果があると私は思う。
阪神連勝の効果はそれだけではない。TVの視聴率も阪神勝利のためか中々のものだったらしい。
何でも瞬間最高視聴率は30%を超えたとか。
もしこのままの勢いで阪神タイガースが優勝したら?
私は、タイガースファンではないが、今の状況からこう考えるといろんな意味で、わくわくするものがある。
兎に角、現在の所、強い阪神の効果は絶大のようである。
ただ困った事に、強い阪神の効果は、良い事ばかりではなくなって来ている。
いや、阪神が悪いわけではない。
開幕戦の視聴率のよさに気を良くした、某球団のオーナーが、目先の利益と、好調さに、目がくらみ、
「交流戦はしない。」
等と言い出した。
あーあ、せっかく去年、低視聴率の、人気低迷で、僅かに出てきた改革の機運が、物の見事に潰されてしまった。またもや、ファンを屋根明後日の彼方位に放り投げて、目先の利益だけを追い求める決断をしてしまいましたね。
本当に、このオーナーと言わず、セ・リーグには、長期的ビジョンに立って、球団経営、リーグ経営をしようと言う人はいないのでしょうかね?
今回の視聴率の良さは、星野監督を初めとする、阪神タイガースの選手が、頑張った結果だと私は思っている。最前線の人たちが、頑張って、短期的ながら人気を回復させた。で、その短期的な結果に酔った経営者達は、現実を見ず、改革をせず、無茶な経営を続ける。潰れる企業の典型的な状態に成っている様な気がする。
忘れてはいけない。阪神連勝による、人気回復は、あくまでも一時的な物でしかない。阪神が優勝しても、その効果は、次のシーズンが始まるまでであろう。
いや、阪神だけではない。今年、どこの球団が、どのような勝ち方で優勝し、人気が回復しようが、その効果は、今年いっぱいであろう。上手い言い方は出来ないが、選手、監督がいくら頑張って人気を回復させようが、その人気回復は一時的な物でしかないような気がしてならない。
そう、「○○が優勝すれば、経済効果は○○億。」と同じで、一時的には何かがあるが、景気回復にはつながらないのと同じである。景気を回復させるには、根本から見直し改革しなければならない。野球だって同じである。長期的に人気を回復させるには、根本から変えなければならない。しかし、今年のプロ野球も、「阪神が連勝している」以外は、例年となんら変わっている所はない。
もし、今年阪神が優勝したら?
恐らく人気は回復するでしょう。ただ、その一時的な人気に、球団経営者達が舞い上がらない事を今から願わずにはいられない。