症例2 脳動静脈奇形

38才の男性が、自動車を運転中気分が悪くなり意識が低下しふらふらと対向車線へ出て交通事故を起こしました。事故による外傷はほとんどないものの意識が悪く、救急車で運ばれました。

CTスキャンをとってみますと、左前方の脳内に脳梗塞と思われる病変を確認しました。38才の若さで起こした脳梗塞ですので何か特別な原因があるのではないかと思いMRIで詳しく見てみますと、脳梗塞の起こった部位に脳の動脈と静脈が吻合した動静脈奇形という病気が存在しました。この男性はこの血管の奇形のために、脳の虚血状態を起こしたか、てんかん発作を起こしたため意識が低下し事故を起こした可能性が高いと思われました。

この脳動静脈奇形という病気は若い人でもよくみられる病気で、くも膜下出血、けいれん発作、脳の虚血などの原因となります。奇形の大きさや存在場所次第では、手術やガンマナイフという治療機器によってうまく治療することが出来ます。頭痛、ふらつき、けいれん発作等の症状のある人は一度CTスキャンやMRIなどの画像診断を受けることをおすすめします。