救急外来実話(アホなやつ編)
私が救急当直をしていたころの話です。
実に面白いというかアホというか変わった救急処置をした患者さんを紹介しましょう。
ほんと、世の中アホがいる。
第3話
肛門に鉛筆突っ込んで取れなくなった52才男性
52才男性のKさんはいろんなものを肛門に入れるのが好きでした。
ある日、いつものように鉛筆を肛門に入れて遊んでいました。
ところがこの日はたまたま未使用の鉛筆ではなく、使用してあるために
半分くらいに短くなっている鉛筆しかありませんでした。
いつものようにこの鉛筆をシンのない未使用側を肛門に突っ込みました。
お尻が気持ち良くず〜んとしてぶるぶると身震いしたとき
何とこの鉛筆がするりと肛門のなかへ入ってしまったのです。
いつもなら鉛筆が長いので全部は入ってしまうことはありませんでしたが、
この日はたまたま短い鉛筆を使用してしまったのでこの事故は起きました。
自分で肛門に指を入れて取ろうとしたようですがこれがなかなか取れませんでした。
とうとう取れなくなりタクシ−で救急外来に受診されました。
尖ったほうが下を向いた形で直腸内に入っているので、
タクシ−の中でも座ることが出来ずにうつぶせになっていたそうです。
私は発熱の患者さんを診ていたとき看護婦さんに呼ばれました。
「先生! 肛門の異物処置お願いします。」と看護婦さんは私にいいました。
「異物って何?」
「鉛筆だそうです。短いので失敗したとか言ってます。」
私は、どうしたら鉛筆なんか入るんだと思いましたが、気を取り直して診察に行きました。
するとジェントルマンという感じのおじさんがうつぶせになっていました。
「先生、おれは痔が悪いんだ。たのむから痔に鉛筆の芯が刺さらないようにしてくれ。」
「じゃ〜 こんなもの入れるな」 と言いたかったのですが、
ぐっと我慢して私の指で直腸疹をしました。
するとあるある鉛筆の芯が私の指先につんつんと触ります。
芯の先端をつかんでするりと摘出しました。
うんちがついた鉛筆を「はい、これですね。」とこの患者さんの鼻の前につきだしてやりました。
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