第108回

倒れているのを家族に発見された79才女性

01.1.19

倒れているのを家族に発見された79才女性

79才女性のMさんは発作性心房細動という病気で外来通院中でした。この病気は心臓の不整脈の一つで脳梗塞(脳塞栓症)の原因となる重要な病気です。朝方左側に倒れているのを家族に発見されました。救急車で運ばれましたが、左に片麻痺を認めました。頭部CTスキャン上、来院時は明らかな異常所見は認めませんでした。しかし、症状より脳梗塞が疑われました。特に心房細動があることから脳塞栓症が疑われました。翌日のCTスキャン上、明らかに右の中大脳動脈に広範な梗塞(塞栓症)を認めました。この病気は発症直後はCTスキャンでは異常所見が認められず、翌日になり画像上所見がでて来ます。
脳塞栓症とは、心臓に大きな血栓ができそれが頭の血管に詰まることを言います。脳の動脈硬化が原因で脳血栓ができるのではなく、心臓に出来た血栓が脳に飛んでいく病態が脳塞栓症です。かなり広範な梗塞ですので生命の心配がありましたが何とかそれは乗り越えられました。しかし、ほとんど完全麻痺が残ってしまいました。幸い右の大脳でしたので、失語症などが残らなくて済みました。今後はリハビリをすすめ家庭復帰をめざします。

発症直後の頭部CT

ほとんど異常を認めない。


翌日の頭部CTスキャン

右の大脳半球に広範な梗塞を認める。

発症直後には認めなかったが、

翌日には異常所見として認められるようになる。

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