第114回

未破裂で動脈瘤が発見された48才女性

01.2.2

48才女性のOさんは脳卒中の濃厚な家族歴がありました。
弟さんがくも膜下出血で亡くなり、父兄が脳梗塞となっていました。最近頭痛があるため自分も心配になって私の病院を受診されました。症状は肩凝り、頚部痛、緊張性頭痛によるもののようでした。
しかし、家族歴が濃厚のためMRI検査をしてみました。すると、左の中大脳動脈に動脈瘤を疑う所見を認めました。3D-CT上やはり左の中大脳動脈の動脈瘤を認めました。術前のDSA(血管造影)の検査ではこの左中大脳動脈の動脈瘤だけではなく、左のIC-PC(内頚動脈−後交通動脈)に動脈瘤が認められました。このため2個の動脈瘤に対して手術を行なうことになりました。術中にこのIC-PC動脈瘤は破裂してしまいましたが、うまくクリッピングの処置が出来ました。
この症例は頭痛が主訴で受診しましたが、実際は濃厚な脳卒中に対する家族歴があったために検査を希望された症例です。
検査をしてみてよかったです。放置したらかなり近い時期に破裂していたものと思われます。

MRA(MRIを使った血管撮影)

左の中大脳動脈に動脈瘤を認める


同じ部位の3D-CT

やはり中大脳動脈に動脈瘤を認める


術前の血管造影

左のIC-PCという場所に動脈瘤を認める

この動脈瘤は手術中破裂した

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