84歳の男性が血液検査を受けました。
肝機能障害と胆道系の酵素の上昇を指摘されました。
まだ明らかな黄疸は認めませんでした。
血液検査の異常の原因を調べるために腹部超音波とCTスキャンを施行しました。
肝内に嚢胞性(のうほうせい)の腫瘍を認めました。
またこの腫瘍の周囲に肝内胆管の拡張を認めました。
最初は肝内胆管癌を疑いましたが、詳しく調べた結果、この腫瘍は胆管の壁からでた嚢胞腺癌と判明しました。非常にまれなタイプの癌です。
高齢でもあり積極的な治療法はなく様子をみることにしました。
黄疸がでた場合にはチュ−ブを入れて黄疸を下げる処置をするしか方法がありません。
それまでは何もせず自宅で生活をしていただくことになりました。
こういうタイプの癌にはなかなかよい治療法がありません。
手術もたいへん困難です。
非常に残念な症例です。
家族と話し合った結果、本人は高齢でもあり告知はしないことにしました。
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