第131回

人に聞きずらい病気の話−水虫について−

01.5.29

人に聞きずらい病気の話−水虫について−

さてそろそろ不快な高温多湿の梅雨がやってきますよね。この梅雨時から夏は水虫の季節です。
そろそろ憂鬱になっている人も多いことでしょう。
何故水虫は夏に多いのでしょうか??
それは水虫を引き起こす原因が白癬菌(はくせんきん)というかび(真菌)の一種で、この菌は湿度70%以上、温度15℃以上になると活発に増殖を開始するためです。
この白癬菌が皮膚の表面にある角層に感染して増えると、小さな水ぶくれやかゆみなどの水虫の症状が現れます。角層は主にケラチンという硬いたんぱく質でできていますが、白癬菌はこのケラチンを栄養源にしているのです。靴下と靴に包まれ、常に温度と湿度の高い足は、体中で一番水虫にかかりやすいのです。特に水虫がよくみられる足の指の間は湿度95%以上、温度は32℃程度にもなります。一日中、靴下と靴を履いたままの生活をしているサラリーマンの足は、白癬菌の絶好の住みかとなります。

さて、いったいどのくらいの人が水虫になっているのでしょうか。日本人全体の20%程度は水虫に感染しており、水虫感染率の高いサラリーマンともなれば、4人に1人は水虫に悩まされているといわれています。
白癬菌は厚みのある足の裏の角層の中にもぐり込んでいるために、寒さや乾燥に強く冬は冬眠状態になりますが、温度、湿度が上がればすぐにまた元気に増殖し始めます。毎年、夏になると再発を繰り返し、何年も水虫とつき合ってあきらめ気味の人も少なくありません。しかし、現在では非常に効果の高い薬が開発されており、正しい知識があれば水虫は完全に治すことができます。

足の水虫には3つのタイプがあります
 最も頻度の高いものが、足の指の間にできる「趾間型」で、水虫の初発症状です。最初に小さな水ぶくれができてむずがゆく、やがてポロポロ皮が落ちます。悪化してくると、皮膚がふやけて白くなり、皮がむけて赤くただれてきます。指が太く、くっつき合っていて風通しがわるい足にできやすいのが特徴です。
 次に頻度が多いのが「小水疱型」と呼ばれるもので、足の裏、特に土踏まずや足のふちに小さな水ぶくれができます。かゆみが強く、やがて乾燥してかさぶたとなり皮がむけてきます。夏に悪化して足が腫れ上がり、病院に駆け込むのはこのタイプの水虫です。
 数は少ないのですが、あまりかゆみもなく、これといった症状もないために水虫と気づかないことも多く、治りにくいのが「角質増殖型」です。かかとを中心に足の裏全体の皮膚が厚く硬くなり、白くカサカサしてきて、空気が乾燥する冬場にはかかとがひび割れたりします。

爪も水虫になる
 爪の主成分はケラチンなので、足の爪も白癬菌に侵されます。爪の水虫を「爪白癬(つめはくせん)」といいます。白癬菌に感染した爪は、白や黄色に濁って分厚くなり、症状が進むと先端から崩れたり、両端が皮膚に食い込む陥入爪になったりします。爪白癬は白癬菌による感染症の20%程度を占め、長年水虫に悩まされていた人がなることが多いため、たいてい他のタイプの水虫と同居しています。爪は硬いために、表面から薬が浸透しにくいので治りにくく、治療には内服薬を用います。
 
陰のうがかゆいときは
「たむし」ではなく湿疹かも

 「たむし」や「いんきんたむし」は水虫と同じ白癬菌の感染で起こります。胴体や腕、脚にできたものは「たむし」や「ぜにたむし」と呼ばれ、股間の部分は「いんきんたむし」と呼ばれます。からだの清潔が保てるようになったために、現在ではその数はぐっと減り、白癬菌の感染症のうちの12%程度です。ほとんど自分の足の水虫からの感染で、その他には風呂やプールでうつります。たむしや頭部に白癬菌が感染する「しらくも」はごくまれですが、最近は猫やモルモットなどのペットからの感染がみられるので、飼っているペットの毛が抜けていたら、注意が必要です。
 たむし、いんきんたむしには水虫と同じ薬が効きますが、体部や股間は皮膚が薄いので薬の浸透がよく、水虫より治りやすいものです。
  ただし、陰のうには白癬菌は感染することはまれです。陰のうがかゆい場合には湿疹など他の原因のことがあるので、恥ずかしがらずに専門の医師の診察を受けましょう。(ドクは専門ではないし興味がないので診療しません )

水虫薬はとっても進歩しています
 菌を殺す力が強く、副作用の少ない安全な外用薬や内服薬が登場して、水虫の治療は格段に進歩しました。
 趾間型、小水疱型、角質増殖型の水虫も、外用薬を塗って治すことができます。塗り薬は皮膚に留まる時間が伸びたため、1日1回塗れば効果を発揮します。現在よく用いられるラミシールクリームは、使いはじめて1週間程度で患部から白癬菌が消えます。入浴後の皮膚が柔らかくなっている状態の時に、べとつかない程度にのばしてすりこみましょう。菌は患部だけでなく足裏全体にいる可能性がありますから、指の間も含め足裏全体に塗ります。症状が消えてから1カ月以上、薬を塗り続ければ水虫は完治します。
 ただし、菌が爪に入ってしまった爪白癬は外用薬では浸透が難しいため、内服薬を用いて体内から患部に薬を送り込む治療が普通です。治りにくい角質増殖型にも、内服薬を用いる場合があります。飲み薬はラミシール、イトリゾールなどで、いずれも1日1回の服用です。内服治療後に外用薬を用いると、再発の予防に有効です。

水虫の予防法は?

とにかく清潔・乾燥です
 水虫は菌が皮膚につくと、すぐ感染するわけではありません。皮膚に定着して増殖を始めるまでに、2〜3日はかかるのが普通です。その間、足が清潔で乾燥した状態になっていれば、菌は自然にいなくなり水虫になることはありません。毎日、石けんで、指の間や爪のまわりも忘れず足を洗い乾燥させます。(自慢じゃないけどドクは足の指の間を洗うのが趣味で、いまだかって水虫の経験はありません)
水虫傾向のある人は殺菌作用のある薬用石けんを使うのも効果があります。プールや浴場などたくさんの人が裸足で使う場所には水虫の菌がたくさんいますから、出るときには足を洗うか、清潔なタオルでよく拭くだけでも菌がとれます。
 足を高温多湿にする最大の要素は、靴と靴下です。靴は数足用意して、毎日同じものをはかないようにし、脱いだ靴はすぐに下駄箱にしまわずに、乾燥剤を入れたり、陰干ししてよく乾燥させておきます。靴下や履き物はできるだけ通気性のよいものを選び、会社ではサンダルにはきかえるとか、靴下を取りかえるなど、湿気や汚れを防ぐ工夫をしましょう。

水虫になりやすい体質の人は・・
 水虫は体質的に感染しやすい人がいます。そんな人の場合は、水虫を完全に治してもまた感染してしまうことが多いのです。毎年夏になると水虫に悩まされる人は、菌の活動が低下している冬から春のうちに治療や予防を心がけると、快適な足で夏を送れます。水虫の外用薬は健康な皮膚に塗っても害になることはありませんし、菌に効かなくなることもありませんから、季節に先駆けて週に1回程度塗っておくと予防の効果があります。
 また、水虫の感染場所は家族内が非常に多いのです。家族内で誰かに水虫があれば、菌は畳にも、フローリングの床にも、たくさんこぼれ落ちていて、家族みんなに感染している可能性があります。薬を塗って1週間もすれば、完治していなくても菌は出なくなりますから、家族全員の治療が最大の予防といえるかもしれません。みんなで薬を塗りましょう。

足のにおいと水虫は関係は??
 水虫が悪化して皮膚に炎症が起こり、雑菌に感染したりすると悪臭を放つことがありますが、水虫そのものは特ににおいません。水虫患者は足がくさいという印象があるのは、においが出るような足の環境を水虫の白癬菌も好むためだと考えられます。(水虫がにおうんじゃなく、においがするような不潔な足の環境を水虫が大好きなだけです。)
 足は1日にコップ1杯の汗をかくといいます。汗の中のたんぱく質や、皮脂が皮膚表面の雑菌に分解されてアンモニアや遊離脂肪酸となり、くさいにおいの原因となるのです。靴の中の高温多湿の環境は、雑菌にも白癬菌にも絶好なのです。
 ですから、においを防ぐために足を清潔に保つのは、水虫の予防にもなります。消臭、乾燥用のフットスプレーやフットパウダー、五本指ソックスなども活用して、足の清潔と乾燥をはかりましょう。

ドクも診療で足のくさい患者さんに遭遇します。たいへん迷惑ですから足は清潔にしましょう。

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