第140回

複視、四肢不全麻痺で発症し海綿状血管腫であった52歳女性

01.6.16

複視、四肢不全麻痺で発症し海綿状血管腫であった52歳女性

52歳女性が複視(ものがだぶって見える)、四肢不全麻痺で発症しました。MRI検査上、脳に多発性の海綿状血管腫を認めました。右の前頭葉皮質下、左の前頭葉側脳室外側、脳幹部(脳橋部)に多発性の海綿状血管腫を認めました。特に脳幹部は大きく今回の症状の原因と思われました。海綿状血管腫は脳血管奇形の一種で、大脳皮質下に好発します。次いで脳幹部(脳橋部)に多く見られます。単発性のことが多いのですが、この症例の様に多発することもあります。痙攣の原因になることが多い様ですが、出血を繰り返しこの症例の様に神経症状を出すこともあります。この症例は脳幹部(脳橋部)の海綿状血管腫の出血のためこのような症状を発症したものと思われます。現在入院で内科的に治療していますが症状が悪化する場合は摘出手術も検討中です。

MRI  T1強調画像


MRI  T1強調画像

↑は海綿状血管腫


MRI T2強調画像 

海綿状血管腫の周囲は古い出血のため黒く見える


MRI T2強調画像 

脳幹部の海綿状血管腫

新旧の出血を認める

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