第168回

頭痛で受診した57歳女性の病気は・・・

01.9.15

57歳女性が頭痛が続いたため検査目的で私の病院を紹介されました。
CT検査で異常所見を認めMRI検査を施行しました。
MRI上、大脳半球に大きな腫瘍を認めました。
この腫瘍は、脂肪の信号パタ−ンで脂肪腫と診断されました。
また、脳梁欠損を合併していました。
頭痛はこれらの異常が原因ではなく、緊張型頭痛によるものでした。
脂肪腫は原始脳膜の遺残、迷入による先天奇形と考えられ、真の腫瘍ではありません。
正中部に好発し半数程度が大脳半球間に認められるようです。
脳梁欠損などの先天奇形と合併することが多いようです。
脳梁は左右の大脳半球を交差する神経繊維の束ですので、これが欠損している人は右脳と左脳の連携がないということになります。
この患者さんは脳梁欠損がありましたが明らかな精神運動発達に異常はありませんでした。
検査の時やや理解力が悪い印象はありましたが大きな問題はなさそうでした。
偶然発見された奇形ですが大きな問題はなくそのまま放置、経過観察されることになりました。

MRI検査をしているとよくこういう先天奇形を発見します。


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