第170回

めまいで発症した52歳男性

01.9.17

めまいで発症した52歳男性

52歳の男性がめまいを自覚し私の病院を受診しました。
MRIで検査しましたところ、脳に異常所見は認めませんでしたが、MRA(MRIを使った血管の検査)で、左の中大脳動脈に狭窄を認めました。
右の正常の動脈に比べて、左はモヤモヤとした側副血行路と思われる血管を認めました。
詳しい精密検査が必要と判断され血管造影検査が施行されました。
血管造影検査上、やはり左の中大脳動脈はほとんど閉塞しておりそのかわりモヤモヤとした側副血行路が発達していました。
モヤモヤ病の不全型の可能性がありました。
しかし、この側副血行路が結構しっかりしており、右に比べてほとんどタイムラグなしに末梢まで造影されます。
脳循環の検査でもしっかりした血流がありこの側副血行路が十分機能しているということでバイパス手術の必要はないという結論になりました。

ゆっくり閉塞したために十分な側副血行路が出来あがり本来の血管の血流と変わらないくらいに十分な血流が確保されていました。
今後、この血流が落ちてくるのかが問題です。
このままであればいいのですが、血流が落ちてくればバイパス手術の適応があると思います。

典型的なモヤモヤ病ではありませんが、その不全型かもしれません。
モヤモヤ病自体原因はまだ解明されていません。
通常は徐々に進行し脳梗塞が進行してきます。


MRI T1強調画像

全く異常なし


MRI T2強調画像

全く異常なし


MRA

左の中大脳動脈がほぼ閉塞している

モヤモヤ血管あり


血管造影

右は正常


血管造影

左中大脳動脈は完全閉塞

モヤモヤ血管を認める

しかし、血流は豊富であった

もどる