60歳女性が意識障害、けいれん発作、右片麻痺、失語症の症状で救急車で運ばれました。
突然の発症で最初は脳梗塞(塞栓症)を疑いました。
しかし、検査の結果下図の様に左の頭頂葉に脳腫瘍を疑う陰影を認め、周囲には著名な浮腫を認めました。
ガドリニウムという造影剤を使用し再度撮影しますと、腫瘍と思われた場所が高信号に増強されました。
MRIの所見から転移性脳腫瘍が疑われました。女性であることから、乳ガンの転移、肺癌の転移が疑われました。
乳腺の触診では癌は認めませんでした。肺のCTスキャン上、右肺に肺癌の所見を認めました。
結局この患者さんは肺癌の脳転移がありましたがこれまではほとんど症状がなく、今回、この腫瘍によるてんかん発作を起こしたものと判断されました。てんかん発作に伴う麻痺や神経症状は一過性で改善することが多く、脳浮腫の改善剤や抗けいれん剤にて治療しましたところ、翌日には意識障害、麻痺、失語症はほとんど改善しました。しかし、この患者さんは悪性疾患の脳転移病巣の治療目的で○○病院に紹介転床しました。ガンマナイフで治療予定です。
このように脳腫瘍でもけいれん発作で初発する場合、いかにも脳卒中のような発症形態をとることがあります。