80歳の男性が頭のふらつきを訴えて検査入院になりました。
この男性は、時々けいれん発作があり近医から抗けいれん剤を処方されていました。けいれんの治療が行われていましたが、一度もMRIの検査は受けていませんでした。最近ふらつくということで私の病院に精密検査目的で入院となりました。
MRI検査上、右の大脳前頭葉から頭頂葉に異常な血流を認めました。検査の結果は脳動静脈奇形(AVM)でした。この病気のためけいれん発作が起こっていた可能性がありました。
ふらつきはこの脳動静脈奇形(AVM)によるものではなく、抗けいれん剤内服による副作用と思われました。(けいれんがコントロール出来ないため、通常の1.5〜2倍処方されていました)
脳動静脈奇形(AVM)は存在しましたが、この年齢までくも膜下出血を起こしていないこと、高齢であること等を考慮しこれまで通り内服によるけいれん発作予防のみで治療することになりました。
脳動静脈奇形(AVM)は若年者のけいれんやくも膜下出血の原因となっていることが多いのですが、この方のように高齢になって初めて発見される方もあります。(この年齢までくも膜下出血を起こさずにすむ方もいらっしゃるのです)
今後くも膜下出血の可能性が否定は出来ませんが、年齢を考慮するとこのままけいれんの治療のみで様子をみていくことが一番と判断しました。
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