第189回

睡眠時パニックを起こした44歳男性

02.10.28

睡眠時パニックを起こした44歳男性

1年くらい前から、夜間眠っているときに、突然息苦しくて目覚める様になりました。
目覚めたあと動悸、めまい感、発汗があり、このまま呼吸が止まってしまうのではないか、このまま死ぬのではないかという不安が出現しますが、しばらくすると症状はなくなり入眠できます。
このような発作は入眠後数時間以内に多く、夢の内容とは関係ありませんでした。
仕事のストレスが強く、疲れているときに発作が起こりやすいようでした。
妻によるとたまにいびきをかくこともあるが、いつもかいているわけではないということでありました。
発作で目覚める以外めだった所見はありませんでした。
発作の回数が徐々に増えてきたため受診しました。
症状から睡眠時パニックと診断され、軽い抗不安薬の眠前内服にて症状は改善しました。

パニック傷害とは、突然、動悸が激しくなり、息苦しくなって、めまいや冷や汗、やがて手足にふるえがきて心臓発作を起こしたのかと思い、このまま呼吸困難になってしまうのではないか、とすごい恐怖に襲われます。
このパニック傷害は覚醒時だけでなく夜間睡眠中にもパニック発作が起こるために不眠の原因になります。
この症例は睡眠時にのみパニック発作を生じる例です。
覚醒時に症状がなく睡眠時のみに起こる例は、睡眠時無呼吸症候群、睡眠時胃食道逆流などの疾患を鑑別する必要があります。終夜睡眠ポリソムノグラフィーや上部消化管内視鏡などの検査が必要になります。
覚醒時にみられるパニック発作が若年者特に女性に多いのに対して、睡眠時パニックは高齢男性に多いといわれています。睡眠時パニックは、治療反応性も良好です。

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