第190回

高速道路のトンネルを運転中パニック障害となった30歳女性

02.10.30

高速道路のトンネルを運転中パニック障害となった30歳女性

特に明らかな既往歴のない30歳の女性が高速道路を運転していました。
長い対面通行(片側一車線)のトンネルを走行中何の前ぶれもなく動悸が激しくなり、息苦しくなって、めまいや冷や汗、やがて手足にふるえがきて心臓発作を起こしたのかと思い、このまま呼吸困難になってしまうのではないか、とすごい恐怖に襲われました。
この時は何とかトンネルを無事にぬけ帰宅できましたが、その後高速道路を運転をしようとするとまた同じ発作を起こすのではないかという不安が出るようになりました。
高速道路を運転する可能性がある時はほとんど必ずこの予期不安がおこり、運転をすることが出来なくなりました。

高速道路のトンネルでは発作により、事故を起こすかもしれないと思う
高速道路のトンネルでは発作を起こしても助けてくれる人がいないことの心配
高速道路のトンネルでは発作を起こした場所からすぐ逃げ出せないことを恐れる
このような予期不安が必ずあり、そのためにリラックスした気分でいられず、車のハンドルを握れなくなったのです。

この方は抗不安薬を飲んでいただき何とか運転が出来るようになりました。

パニック傷害とは

 突然、動悸が激しくなり、息苦しくなって、めまいや冷や汗、やがて手足にふるえがきて心臓発作を起こしたのかと思い、このまま呼吸困難になってしまうのではないか、とすごい恐怖に襲われます。
「パニック障害」はこういう症状が何の前ぶれもなく現れます。この病気は「不安神経症」「心身症」「狭心症」「自律神経失調症」「心臓神経症」「心室性頻脈」「過呼吸症候群」「メニエル症候群」「過敏性大腸炎」などと診断されていることがあります。

「パニック障害」は、3%〜4%の割合で発生していると言われており、決して珍しい病気ではありません。生命をおびやかすような病気でもないので、早い時期に専門医による適切な薬物療法や行動療法が必要です。

パニック障害の症状
 パニック障害の主症状は、パニック発作です。 不安や恐怖に直面すれば、だれでも心臓がドキドキしたり、震えたり、汗をかいたり、息苦しさを覚えたりしますが、パニック発作の場合、たいへん強い症状となって現れるのが特徴です。
 発作の激しさは、このまま死ぬのではないかと思うほどで、発作が起こるとその場にうずくまり、動けなくなる人や、呼吸ができなくなる人も多くみられます。 
とくに原因もないのに、なんの前触れもなく不意に起こり、強い不安や恐怖をともなうのが特徴です。パニック発作があって、なおかつそれによるなんらかの生活上の支障が発生して、はじめてパニック障害と診断されます。

予期不安
パニック発作は、初期のころは一ヶ月に1〜2回という頻度で起こりますが、症状が進行すると、週に1回など頻発するようになります。 また、最初のころは、なんの前触れもなく発作が起こっていたのが、しだいにある一定の状況下で発作に見舞われるようになります。条件反射的に発作を起こす人もよくみられます。
 パニック発作が何度も起こるようになると「いつ発作が起こるのだろう」という不安にとらわれる事になります。これを予期不安といいます。

予期不安がすすむと、広場恐怖という状態になります。
 広場恐怖とは、パニック発作、あるいはパニック障害の症状が、予期しないでまたは、状況に誘発されて起こった時、逃げることが困難であるかもしれない場所、助けが得られないかもしれない場所にいる事、恥ずかしい思いをしそうな場所にいることへの不安を感じ、しだいにその場所に行く事に恐怖を持ち、避けようとする行動をとるようになることです。
 広場恐怖が起こりやすいのは、電車や車、飛行機などでの移動中、エレベーターの中、橋の上、歯科医院、会議室や美容院です。

このような予期不安が必ずあり、そのためにリラックスした気分でいられず、行動が防衛的になり、行動空間が狭められていきます。そしてパニック障害がさらに現実化、行動化した恐怖を「広場恐怖」といいます。

パニック障害になりやすい人
 神経質な人や、例えば「カギをかけただろうか」「忘れ物はないだろうか」などという強迫的な不安から逃げられない人は、パニック発作を起こしやすいようです。
 また、「他人の目」を人一倍気にする人も起こしやすいと言われます。
 
以下のような方がパニック発作を起こしやすいタイプと言われています。

・几帳面で完璧主義の人
・人あたりがいいのだが、感情の起伏が激しい人
・変化を好まない
・生真面目で責任感が強い
・自己中心的でわがまま
・潔癖主義の人

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