診療日記
00.8.3
脳梗塞の治療中、脳出血を起こした83歳女性
今日の朝方、救急車で83歳の女性が搬送されました。
右片麻痺、失語症がありました。
この患者さんの顔を見て私はショックを受けました。
私がずっと脳梗塞で治療をしていた患者さんでした。
一度脳梗塞による軽い右麻痺で入院したのをきっかけに、
外来でも私の診療日に通院していただいていた患者さんでした。
いつも木曜日の私の外来の1番の番号がついている方でした。
朝早く7時過ぎには外来にいらして、9時からの私の診療を受けておられました。
いつも1番の番号がついていましたので
私も非常に印象深かった方です。
83歳ではありますが、たいへん元気で70歳代にも見えるような方でした。
今日は木曜日ですから、いつもどうりであれば
1番の番号で外来にいらっしゃる予定でした。
ところが残念ながら、急変して早朝の救急車で搬送されました。
CTスキャンで確認しますと、今度は脳梗塞ではなく、脳出血でした。
主治医としてはこれはかなりつらいことです。
何故かといいますと、脳梗塞の治療は抗血小板剤を投与します。
このくすりは血液が固まるのを防ぐ薬です。
脳梗塞の発症には予防効果がありますが、
もし出血した場合はなかなか止血せずに出血量が多くなります。
この患者さんにはこの最悪のことが起きたのです。
切れやすく、つまりやすい血管は治療が難しいです。
この方も高血圧症、糖尿病、高齢などのために血管がこのような状態だったと思います。
しかし、長くこの患者さんとかかわり悩みをきき、
一緒に治療をしてきた主治医としては、
脳梗塞の治療をしてきて脳出血を起こされることは、本当にショックです。
抗血小板剤を使っていなければもう少し出血量が少なく済んだのではないか
とも思ったりします。
左の被殻というところの出血で、手術で血腫を抜くか、
このまま内科的な治療をするか悩みました。
しかし、内包という運動神経の集中しているところがまだ障害されていないので、
手術する価値があると考えました。
K病院に血腫除去目的で転床しました。
早く元気になって帰ってきて欲しいです。
|