第41回

両側性脳幹部梗塞を起こした71才女性

00.8.4

診療日記
00.8.4

両側性脳幹部梗塞を起こした71才女性

言葉をしゃべらなくなったという症状で家族に連れられて入院となった
71才の女性Mさんは、MRI の結果両則性の脳幹部梗塞を認めました。
この患者さんは軽い左不全麻痺を認めますが大きな問題はありません。
問題はしゃべらない(しゃべれない)ことです。
脳幹部(橋)という場所に両側性に梗塞がでていました。
この場所に両側生に梗塞がでると仮性球麻痺という状態になります。
仮性球麻痺が起これば、飲み込みや言葉の障害がでます。
飲み込みについてはこの患者さんは食事がむせ肺炎を起こしましたので、
経管栄養チュ−ブを挿入し食事を止めざるを得ませんでした。
言葉をしゃべらないというのはいわゆる失語ではなく失声というか、
言葉は理解してしゃべるべきことが分かっていても声が出せない状態です。
喉の麻痺のためうまく言葉が出ないのです。
言葉が出ない、食事がむせる以外はほとんど問題がない状態です。
リハビリテ-ションを積極的にすすめ、早く家庭復帰が出来ればいいなと思います。
この場所(脳幹部)は非常に大切な場所で、下部には延髄という命の中枢があります。
一歩間違えれば死亡する恐い場所です。
この患者さんも言葉は失いましたが、命は助かり、幸いだったと思います。
しかし、今後のリハビリは言葉のリハビリ、飲み込みのリハビリですので
なかなか大変だと思います。頑張って欲しいです。

脳幹部梗塞です

MRI T2強調画像(←の白い部分が梗塞)

MRI T1強調画像(←の淡い黒い部分が梗塞)

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