第46回

医療相談回答2(正常血圧での脳出血)

00.8.13

はじめまして
金さんのホームページにてお目にかかり何度かお邪魔させてもらい
楽しく読ませてもらってます
美津子さん、天友さん、悦子さん、などお馴染みの方もいらっしゃるので私もご挨拶させていただきます

先生の言葉で

>脳の病気で通院されていても、私自信で胃カメラをしますし、
 超音  波、CT、MRIなども私が責任をもって確認します。
 診療を通して患者さんと人間と人間のおつき合いが出来ればと
 思っています

を読ませていただき先生の暖かさが伝ってきました
私もここのお仲間に入れていただきたく妻のことを
かかせてもらいます

私の妻は脳出血に倒れこの夏で4年目になりました
左の手足が不自由ですが家事もほぼできるようになりました
もともと妻は低血圧でした
何でも一生懸命やるほうで家事や子供に尽くすほうでした
家族の食事は作るが自分はとお菓子や果物のような間食ぐらいの食事ですましていたようでした
また子供の就職試験がうまくいかないこともあり睡眠不足もあったようです。でも膝の裏が痛いとか汗が異常にかくというので
近くのホームドクターに診てもらいましたが更年期障害では?
ぐらいの診断だったようです
それから1週間後の夜 脳出血になり救急車で市立病院に入院しました
脳出血などは予想もしてなかったので本当にびっくりしました
そのとき充分診ていただいたならと思うと本当に残念です
そのホームドクターに1年後行った時びっくりしたそうです
でもまだ再発を恐れ 血圧が少しで高くなったりすると神経質なぐらい
薬を飲んだりしてます
現在は血圧の薬は飲んでいません
血圧は110ー70ぐらいです
でも100を切ることもあるようです
夏はいいようですが冬になると頭に差し込まれるような痺れがあると
いいます
先生に質問ですが
 ☆血圧が低い人も脳出血になるものでしょうか
 ☆妻のような症状の者の再発にどのようなことをしたらういいですか
 ☆痺れをすこしでも軽くするにはどうしたよいでしょうか
脳出血は本人はもとより家族まで巻き込む本当に怖い病気です
でもくよくよしてても始まらないです
金さんはじめ大勢の人が前向きに生きてます
病気が軽くすんでよかったと思えるように心のリハビリも
必要と思えるようになりました
これからもよろしくお願いします

しげるさん、はじめまして。ようこそいらっしゃいました。
質問にお答えします。
「血圧が低い人でも脳出血になるか?」という御質問ですが、
もともと脳出血というのは動脈内の圧に血管が耐えきれず破れるわけですから、
上の血圧が100しかない方でも、100の圧がかかっているわけですから、血管がもろければ破れます。
もちろん高ければ高いほど破れる確率は高くなります。
しかし、低くても0の圧ではないかぎり破れる可能性はあるわけです。
患者さんは血圧の数値だけを考えられますが、実は血管が破れるかどうかは
血管の脆弱性(ぜいじゃくせいと読みます。血管のもろさという意味です。)という因子が大きな意味を持ちます。
100の血圧でも破れて、230の血圧でも破れないという状況はわれわれ臨床医はよく経験することです。
奥様は普段の血圧が低くてもこの血管の脆弱性という因子で問題があったかもしれません。
この因子はなかなか血圧のように数値で表されるものでもなく、画像診断でも簡単に評価できません。
この脆弱性は高血圧や老化などで弱ってくる場合ともともと体質的に弱い方もいらっしゃいます。
ですから、奥様の場合この因子の問題点があったのかもしれません。
それから、一般に血圧というのは安静時血圧で評価しますが、
実際脳出血が起こるのは活動時なのです。
急激な温度変化や力み、感情の高ぶりなどで突然血圧が異常に上がり破れるのです。
排便中、洗髪中、性行為中、夫婦喧嘩の最中、パチンコのセブンがかかった直後などに
出血されるかたが多いのはこの突然の高血圧と思われます。
普段が正常でもこのような一時的な高血圧で破れてしまう事もあるのです。
また、人間の血液が心臓からでて、心臓に戻るのにだいたい25秒くらいです。
だいたいの速さを計算すると時速216Kmと言われています。
新幹線なみの速さです。血圧の低い人でもこの速さで血液が流れているのです。

「妻のような症状の者の再発にどのようなことをしたらういいですか ?」という質問ですが、
普段の血圧はこれ以上下げようがありません。
また、もともとの体質や老化についても避けられないことです。
コレステロ−ル、糖尿病があればもちろんコントロ−ルすべきです。
喫煙も大きな危険因子です。
これらの危険因子のコントロ−ルできていれば、
あとはやはり急激に血圧が上がることのないようにするしかありません。
社会的、家庭的なストレスがあれば早く解決してやることです。
不眠、過労を避けることは当然のことです。

「痺れをすこしでも軽くするにはどうしたよいでしょうか 」
4年経過している状態で痺れの著明な改善は簡単ではありません。
後遺症として残る可能性が高いでしょう。
しかし、御主人と2人3脚でリハビリを続け、痺れの辛さを御主人もよく理解していれば、
痺れに対しても馴れがでて少しずつ辛さがやわらいでくるでしょう。
焦らずに前向きにやることです。
金さんや中島さんのように前向きに頑張っていらっしゃるよい見本があると思います。
しかし、脳卒中が起こった時点で最初から、リハビリのスタ−ト時点ですべての方が不平等なのです。
社会復帰した方はがんばった方というわけではありません。
それぞれの方が出発点が違い目標も違います。
奥様のよき理解者、パ−トナ-は御主人しかありません。
奥様の目標を二人で考えいっしょに少しずつ歩いて下さい。

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