第6回

激しい振戦症に対する最新の治療法

00.4.30

実は、最近非常に驚いたことがある。

私が振戦症でながく治療していた患者さんのことです。この患者さんは、軽い振戦があったのですが、徐々に激しくなり書字はもちろん茶わんを持つことすら出来ない状態になりました。

MRIなどで脳をしらべてみても異常所見はなく、振戦を止める内服薬を使用していましたが、あまり効果なく最近は精神安定剤まで使用していました。内服すると少しは良いとおっしゃっていましたが、私から見れば、ほとんど効果がない状態でした。

困り果てていましたところ、脳神経外科医の池田順一先生からよい話をききました。最近、脳の機能手術が進歩してパーキンソン病や本態性振戦症に効果が出ているとのことでした。以前は脳の深部にある基底核や視床というところを手術で破壊して治療をされていましたが、最近は脳深部に刺激電極を挿入して症状をとる治療が行われているようです。

さっそく、この患者さん(69歳男性)に手術的治療法があることを話しました。かなりお困りでしたので、ぜひ話を聞きたいと非常に積極的になられました。数日後、この手術の専門家である熊本大学病院のG先生にお願いしました。

結局手術をすることになり、4月6日に右側振戦に対して、左側視床という場所に脳深部刺激電極挿入を行い、4月13日左胸部にパルスジェネレーターという機器を埋め込みました。

このパルスジェネレーターで脳の電気刺激をすると、いままで何年もとれなかった激しい振戦がいとも簡単にぴたりと止まってしまいました。もちろん左視床の手術のみですので、右側の振戦のみ止まっています。左側の振戦はかなり激しく続いています。この患者さん左側の振戦に対しても治療を希望されましたので、6月頃手術予定です。

ここまで良くなるとは思いませんでしたのでびっくりしています。

もどるよ〜