第78回

胃癌が肝臓、肺に転移した79才男性

00.10.1

胃癌が肝臓、肺に転移した79才男性

79才男性のAさんは胃の調子が悪く近くの病院で内視鏡検査を受けました。
内視鏡上、胃の出口(幽門)に胃癌が疑われ、私の病院に紹介されました。
内視鏡を再検しますと、幽門付近の内腔に突出する胃癌を確認しました。
CTスキャン上、この胃癌はかなり大きく膵臓にも浸潤していました。
また、肝臓や肺に多発性の転移を認めました。
すでに末期癌でした。手術の適応はありませんが、
癌の出来た場所が胃の出口の狭いところでしたので、
このままでは食事がとおらなくなる可能性がありましたので、
胃の出口を縫いちじめ、食事が狭くなった出口にいかなくして、
そのかわりに胃の真ん中に小腸をつないでバイパス路を作りました。
これでしばらくは食事が通過せずに困ることはないでしょう。
今後は癌の増大や転移病巣からの症状が出てくる可能性があります。
出来るだけ痛みや苦しみを取ってあげることが大切です。
医療用麻薬の内服を少量から開始しました。
現在のところ痛みはコントロ−ル出来ており、食事も何とか取れています。
やはり、悪性疾患は早期発見すべきです。
そのためには毎年検査をしていくしか方法はありません

上部消化管内視鏡

胃の出口(幽門)に内腔に突出する胃癌を認める

奥に出口(幽門)がありますが、

胃癌の浸潤のためかなり狭窄しかかっている


腹部CTスキャン

矢印が胃癌です

周囲にかなり浸潤しており膵臓との境界は不鮮明です

膵臓に癌が浸潤している証拠です


肝臓のCTスキャンです

肝臓の中にたくさんの転移性癌(矢印)が見えます

今後これがどんどん大ききなってくるものと思われます


肺のCTスキャンです

肺のなかにたくさんの転移性肺癌(矢印)が見えます

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