第89回

体重減少、食後の胸痛とつかえ感で受診した25歳男性

00.11.18

体重減少、食後の胸痛とつかえ感で受診した25歳男性

25歳男性食後の胸痛、胸のつかえ感
体重減少が徐々に進み病院を受診しました。
胸部レントゲン上、胸部異常陰影を認め私の病院に紹介になりました。
胸部CT上、食道の著明な拡張を認めました。
食道の直径は通常の10〜20倍にも拡張していました。
造影剤を飲んで再度CTをとりましたが拡張した食道に
大量に造影剤が貯留する状態で胃の方への流入がたいへん悪い状態でした。
この病気は、アカラジア(噴門無弛緩症)という病気です。
噴門(胃と食道のあいだ)での通過障害と同時に
食道の拡張と食道壁での正常な蠕動運動の消失をみる病気です。

症状としては、徐々に進行する嚥下困難、胃液を混じない食物の逆流吐出、
はなはだしい口臭などとともに、体重の増加不良、やせなどが目立つ。
食道炎を併発すると胸痛などを訴えることもある。
食道がんと差異は固形物よりも流動物の方がより通過障害を訴えることが多いことである。
治療は、薬物療法、ブジ−で拡張、手術である。

この患者さんは、結局手術をすることになりました。

胸部CTスキャン

著明に食道が拡張している


造影剤服用後CT

拡張した食道に造影剤が停滞している

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