第95回

突然左下腹部痛が発症し救急車で運ばれた16才女性

00.12.10

突然左下腹部痛が発症し救急車で運ばれた16才女性

16才のKさんは、期末試験の勉強中に突然左下腹部が痛くなりました。
以前も似たような症状がありましたが、
しばらくして症状が軽くなっていましたので、
病院を受診することはありませんでした。
しかし、今回は今までよりはるかに痛み方がひどく、
長く続きだんだん症状が悪化するために両親に相談しました。
痛みがひどく顔面蒼白となり結局救急車で搬送されました。
来院されたときもかなり痛みがありました。
腹部触診上左下腹部に腫瘤を触れました。
その腫瘤の部位にかなりの圧痛を認めました。
発熱はなく、血液検査でも明らかな白血球の上昇も認めませんでした。
腹部超音波で左附属器に腫瘤を認めました。
検査で妊娠は否定されましたので、CTスキャンにて検査しました。
検査上左卵巣腫瘍(奇形腫)の茎捻転と判明しました。
痛みが激烈であったため、すぐ手術となりました。
卵巣にできた腫瘍が捻転して卵巣が虚血状態となり激しい痛みを出します。
捻転が解除されないと卵巣が壊死を起こし生命の危険もありますので、
ほっておくとたいへんなことになる可能性のある疾患です。

茎捻転そ起すのは、本症例の様に良性の腫瘍が最も多いのですが、
悪性腫瘍の場合もあります。
また、不妊治療のための排卵誘発剤使用で腫大した卵巣に発生した
茎捻転も報告されています。

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