第97回

食後の激しい右上腹部痛で来院した31才男性

00.12.23

31才男性が食後腹痛を主訴に受診しました。
食後に右上腹部が激しい痛みを出すそうです。
特に油濃いものを食べるとこの痛みが激しくなるとのことでした。
まず、腹部超音波上、胆嚢壁の著明な肥厚
内部に結石を疑う所見を認めました。
CTスキャンの造影検査では壁肥厚を認めますが
明らかな悪性の所見ではないようでした。
胆嚢腺筋症と言って胆嚢壁が肥厚してくる良性の病気があります。
その可能性が高いと思われました。
しかし、問題は毎食後激しい痛みを出していると言うことです。
いくら良性でも放置できません
この壁肥厚はよく見ると胆嚢の底部のみではなく
頚部(胆汁の出口)にも著明でした。
そのため、脂肪分の多い食事の時、
胆嚢が収縮しても頚部肥厚のため胆汁がでることが出来ずに、
激しい痛みを出していた可能があると思われました。
胆石の存在もあり、この胆石が時々
この狭い頚部に詰まっていた可能性もあります。
いずれにしても症状が激しく手術を進めました。
内視鏡的胆嚢摘出術を施行し無事退院しました。
手術後の組織学的診断は胆嚢腺筋症で、
底部と頚部に壁肥厚が強く認められました。
内部には0.1~0.2cm大の結石が約20個認められました。

CTスキャン(造影)

胆嚢壁の著明な肥厚を認める


手術後の病理所見

胆嚢底部と頚部の肥厚を認める

胆石は約20個

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