31才男性が食後腹痛を主訴に受診しました。 食後に右上腹部が激しい痛みを出すそうです。 特に油濃いものを食べるとこの痛みが激しくなるとのことでした。 まず、腹部超音波上、胆嚢壁の著明な肥厚と 内部に結石を疑う所見を認めました。 CTスキャンの造影検査では壁肥厚を認めますが 明らかな悪性の所見ではないようでした。 胆嚢腺筋症と言って胆嚢壁が肥厚してくる良性の病気があります。 その可能性が高いと思われました。 しかし、問題は毎食後激しい痛みを出していると言うことです。 いくら良性でも放置できません。 この壁肥厚はよく見ると胆嚢の底部のみではなく 頚部(胆汁の出口)にも著明でした。 そのため、脂肪分の多い食事の時、 胆嚢が収縮しても頚部肥厚のため胆汁がでることが出来ずに、 激しい痛みを出していた可能があると思われました。 胆石の存在もあり、この胆石が時々 この狭い頚部に詰まっていた可能性もあります。 いずれにしても症状が激しく手術を進めました。 内視鏡的胆嚢摘出術を施行し無事退院しました。 手術後の組織学的診断は胆嚢腺筋症で、 底部と頚部に壁肥厚が強く認められました。 内部には0.1〜0.2cm大の結石が約20個認められました。 |
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