辞書を作る人になったつもりで

                  福岡県山川町立 山川南部小学校  下川善史

 これは伴一孝氏の「初めての討論指導」の実践を発問・指示の形にまとめたものである。(原実践は向山洋一氏)
「自分が辞書を作る人になったつもりで、与えた言葉を説明させる」という授業である。
 言葉は「右、青、猫」の三つを扱う。それぞれを1時間で扱い、計3時間をかけての実践である。


<主な発問・指示と授業の概略>
まず、黒板に「右」と板書する。

指示1 自分が辞書を作る人になったつもりで、「右」の意味を書いてごらんなさい。書けたら持って来なさい。

持ってくる子一人ひとりのノートに、全部○を付ける。
○をつけた子には、意見を板書させる。黒板には子どもの意見がずらっと並ぶ。

指示2 黒板の考えを読んでもらいます。黒板の右から順番に自分の意見を読みなさい。

全部の意見を読み終わる。

指示3 黒板に書かれている意見に対して、反論を発表してもらいます。指名なし発表で次々に発表しなさい。
このときに注意することは、反論に対する意見を言ってはいけません。黒板に書いてある意見に対する反論を出すだけです。

板書された意見に対する反論が出尽くした後、次の指示を出す。

指示4 自分が一番良いと思う意見のところにネーム磁石を置きなさい。

支持者のいない意見には消去線を引く。(後で使える場合もあるから消さない)

そして、ここからいよいよ指名なし討論を始める。

指示5 では今から、指名なし討論を始めます。先生は指名をしませんから自由に立って意見を発表しなさい。ただし、同時に立ったときは、初めて発言する人や発言の少ない人に譲ってあげなさい。
では、机を討論の形態にしなさい。指名なし討論を始めなさい。

 途中討論が停滞してストップしたときには教師が前に出て整理を加える。また、発言が一部の子に偏って、明らかに集中していない子がいる時には指名して発言を求めたり、発言していない子を全員立たせて、何か言ったらすわるように促したりして発言の機会を与える。
 以上のように、子どもの発言がストップしたところで、教師が前に出て意見を消去したり、保留にしたりして意見を整理してやる。このときネーム磁石も移動させる。
 このようにして、最後に「残された二つの意見による対立構造」を作り上げて、討論させる。
 そして、最後は辞書を引かせて、正解を確定して終わる。

     

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