クラス平均が90点以上になる漢字練習指導法

                                                 2002.9.17  下川


一昨年度(2000年)の4年生担任の時、週1回の漢字のミニテストを実施した。
その時のテストのクラス平均点は毎回、90点以上だった。特に、3学期は毎回、平均96点以上をとった。


1. 平均90点突破の秘訣

  クラス平均90点突破の秘訣とは何か?

@全国で効果の実証された練習方法を追試した。      
A漢字練習システムを作った。

 つまり、全国各地で効果が実証されている指導法(あかねこ漢字スキルを使った向山型漢字指導法)を用いて、漢字練習システムをつくり、実施したのである。
 この練習方法を実施した全国の教師、及び子どもや保護者から「漢字テストの成績がよくなった」「漢字練習が楽しくなった」という便りが多数届いているという。
 その指導法の原則は次の通りである。

2. 90点突破練習システムの原則10

原則1  学校できちんと指導して練習させる。(安易に宿題にしない)

 この原則は、「学校は勉強するところだ」ということを考えれば、当たり前のことである。授業時間の中で練習時間を確保して指導するのが教師の仕事である。自分を振り返ってみても、安易に宿題に回して漢字の力がつくことはなかった。
 特に、学力が低くて勉強のできない子ほど、家庭学習では力はつかない。

原則2  練習方法は4つのステップで
       @指書き
       Aなぞり書き      
       B写し書き
       C空書き

 原則2の「@指書き」は、大切である。鉛筆を持たせる前に、まず指で正しい筆順で書く練習が大切である。

原則3  毎日練習する時間を確保する 

 例えば、10個の漢字を20分間で全部一度に練習させるよりも、毎日10分、5個ずつ2日間にわたって練習させた方が無理なく覚えられる。
 特に、できない子にとって無理のない方法である。

原則4  ミニテストの中身を事前に予告する  

 どの漢字がテストに出るか分からなければ、練習する意欲もわかない。事前に予告しておくことは大原則である。 

原則5  ミニテストする曜日・時間を決めておく

 テスト実施日を毎回教師の都合で決めていては、子供は見通しを持った練習ができない。
 私は毎週金曜日、時間は3分間、問題は10問と決めていた。従って、子ども達は、毎週金曜日がミニテストの日という心構えを持って練習をしていた。

原則6  ミニテストの答合わせは、隣どうしで交換させて子どもにさせる

 この方法の長所は次の通り。
  ◇答え合わせをする中で、漢字を覚える。(友達のテストを採点するので、漢字を注意深く見るようになる)
 ただし、答合わせの際に、次のように指示する。
   ・「よく見てあげなさい。それが相手のためです」
   ・「正解かまちがいか分からないときは、二人でいっしょに先生の所へ持って来なさい」
   ・「とじたきれいな○をつけてやりなさい」
 また、この方法は、「教師が答合わせをする手間が省ける」というよさもある。

原則7  まちがえた漢字だけを再テストする

 再テストで、正解だったところも含めて全問を再テストするという方法があるが、これは子どもの心理を考えておらず、練習意欲を減退させることになる。
「○をもらったのに、なぜ再び書かなければならないの?」と子どもは必ず不満を持っている。
 学期初めに、原則7を宣言すると、子どもは俄然やる気になる。

 以上を徹底させれば、クラス平均90点以上をとれると言われている。
 しかし、私はさらに次の方法をつけ加えた。

原則8  家庭学習では「自分でテスト」をさせる

 家庭学習の漢字練習も効率的な練習をさせるべきである。「毎日、漢字200文字を書いて来なさい」などという前近代的な練習はナンセンスである。根性主義の漢字練習には、おさらばすべきである。
 では、どんな練習をさせればよいかの。
 私は家庭で、下記のように「自分でテスト」をさせるようにした。
   @ひらがなで漢字の問題を書く。
   Aテストのつもりで漢字を書く。
   B自分で答合わせをする。
   Cまちがえた漢字だけを再度練習する。

原則9  家庭学習での書きまちがいを書き直させる

 家庭での練習は心のゆるみが出る。その上、自分の書いた漢字を自分で○つけするのだから、なおさら甘くなりがちである。間違っているのに、○をつけている場合が多々ある。
 従って、漢字に誤りがあれば、必ずチェックして書き直させるようにする。
 教師のチェックがあることで、子どもは家庭でも注意深く書くようになる

原則10  テスト当日の朝自習は「自分でテスト」をさせる

 家庭学習に過度の期待をしないほうがよい。家庭環境に恵まれない子どもにとって、家庭学習をきちんと行うことは不可能だと思っておいてちょうどよい。そんな子ども達のことを考えれば、この原則10が不可欠である。


 以上が「90点突破練習システムの10の原則」である。
 この原則は、特に、学力の低い子、いわゆるできない子を配慮した漢字練習指導法である。しかも、その効果は全国の多くの教師による実践によって証明されている。
 この指導法により、「漢字テストの点数がよくなった」と喜ぶ子ども達がひとりでも増えればこの上ない喜びである。 

※以上を2002年の2学期初めに校内で提案し、全学年で実践してもらった。
 その結果、1学期の漢字テスト全校平均が81点だったのに対して、2学期終わりのテストでは87点にアップした。
 この6点アップの事実は大きい。