「虹染」加工工程

白生地を伸子でシワなく綺麗に張り上げます。


次に一番目の色(黄色)を刷毛でぼかしながら染めていきます。


次に二番目の色(緑色)を黄色の上から刷毛で同じ様にぼかしながら染めていきます。


次に三番目の色(橙色)を二色染め上がった上から刷毛で同じ様にぼかしながら染めていきます。


次に四番目の色(赤色)を三色染め上がった上から刷毛で同じ様にぼかしながら染めていきます。


最後に五番目の色(紫色)を四色染め上がった上から刷毛で同じ様にぼかしながら染めていきます。


虹染の出来上がりです


「虹染」とは

画期的な染色技法、染色の魔術と言われる「虹染」-その虹染についてまだまだ耳慣れない方もあろうかと存じます。

「虹染」とは染色の技法の一つとして、染色作家の本郷大田子が発明し、京都府発明功労賞に輝いた染色技法のことですが、単に染色の技法と言うだけでなく、ひとつの染めの作風または作家の個性や表現技術と言っていいでしょう。染料を白い生地にたらしますと、いわゆるキャピタリー現象によって色がにじんで行きます。この原理を応用して何色も何色も、染料をにじませて行きます。そうしますと色が重なりあい色がぼけあって、俗に玉虫色と言われる虹効果が生まれてきます。これが「虹染」です。「にじむ」ことと「虹色」、虹染の命名はここから始まりました。

ではこの虹染が単に染色の技法だけでなく、なぜ作家の個性や表現技術の一つになっているのか、と言うことについてご説明してみましょう。実際に染料を生地にたらしていただくとおわかりになると思いますが、染料の量によってはどこまでもにじんで行きます。つまり勝手に色がにじんで行くわけです。これでは染まって行くのであって、意識的に染めている事になりません。にじませたい部分を、これをどこまでにするか、重ね合わされた色がどのように変化するのか、これが「虹染」作家の表現力と技術力になってくる訳です。

染めることと描くことは根本的に違います。筆を使って色を塗るのではなく、刷毛を使って色をにじませる。これが本来の染めであり、「虹染」はにじませながら、虹の様に色を重ねて行く染色技法だとご理解頂ければ良いでしょう。あらかじめ色と色を混ぜ合わせて染めて行くのではなく、生地と言うキャンパスにそれぞれの色を重ね合わせて行くため、初めに染めた色がたとえば太陽の光の中で浮き上がってくると言う、なんとも言えない染め効果が得られるのも「虹染」の特徴です。

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