水晶片の研磨に挑戦…今では誰もやらないだろう(Jun 24.2026)

はじめに
友人のJA5ELM河野氏から面白いメールと写真が届いた。
今ではやる人は殆ど居ないと思われる、水晶片の研磨による周波数変更の話だった。
内心「ヘェー!」で好奇心をくすぐられる内容だった。
おまけに、メールのタイトルには「赤チン」と記されていて、何事?と想像を巡らせてくれた。
写真は、E-1型水晶発振子を分解した様子。このタイプは、スプリングで水晶片に接触する電極を押え付ける構造になっていて、水晶片の取り出しが容易だ。アマチュア向けは、水晶片へ直接金属を蒸着させたタイプが一般出来だったと記憶している。
オンマウスの赤チンは、昭和の代表的な外用消毒薬でマーキュロクロム液のこと。良く見ると、箱の上に置かれた四角い水晶片が薄赤く染まっている。
以下は河野氏から届いたその研磨のハウツーである。

水晶片の研磨に挑戦
�@FT-243やE-1型のネジを外して水晶片を取り出す。

�Aダイヤモンド砥石#1000を使って軽く研磨。
この時に注意することは、水晶片をX軸あるいはY軸に沿って平行移動させること。
円運動に回転させると、水晶片が凸型に研磨される。
また、指先に力を入れすぎると凹型に仕上がってしまう。
このあたりの感覚は、最初は練習用の水晶片で体験してから本チャンに挑むことをお勧めします。

�B50回も往復するとかなり研磨されるので30回くらいの研磨で様子を見て往復の回数と発振周波数の変化を体感します。
研磨面の平面性が悪くなると発振しなくなるので、その時はダイヤモンド砥石#3000で静かに研磨して平面性を確保します。

�C目的の発振周波数が近づいたら、ダイヤモンド砥石#3000で慎重に研磨します。
最後の数kHzは、非常に微妙なので細心の注意が必要ですので目的発振周波数の数100Hz手前で止めるのをお勧めします。 あとは発振回路で調整することになります。

�D不幸にして削りすぎた場合には、昔から言われている「赤チン」のお世話になります。
この方法は、赤チンの成分である比重の重い水銀を塗布することによって振動数を減らそうとするものです。
5MHzに対して1kHz 程度なら楽に動かせます。
ただ、この時に欲張って厚く赤チンを塗っても塗りむらを生じてうまくいかない(=発振しなくなる)ので薄くかつ均一に塗るのがコツです。

まとめ
皆さんいかがでしたでしょうか?。昔(AM/CW時代)のアマチュア無線Txのフロントパネルやシャシには、水晶のソケットが必ず付いていました。メーカー製も自作も同様で、水晶ソケットはパーツ店に普通に並んでいてました。しかし時が過ぎ、気付いてみるとパーツ店からは姿を消し、有るのはOM陣のパーツ箱の片隅位ではないでしょうか。オーナーも慌てて探し出してきました。河野氏のメールは、昔のアマチュア無線に併せ、水晶発振と言う普遍的な原理、即ち「理科」を思い出させてくれました。
1960年代に作られたと思われる水晶を大切に保管されている姿は、やはり水晶は高級品で高価だったことに尽きると思いますが、如何でしょうか…。
写真は河野OMの自作7MHz/Tx。オンマウスは1973年製の拙作7MHz/CWトランシーバでFT-243型水晶が確認できます。こうした作品は、水晶様々って感じがしますね。