「文学横浜の会」
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2004年11月3日
「アメリカの時代」
11月になった。早いもので、今年もあと二ヶ月しかない。
10月は近年になく、重苦しい日が続いた。季節外れの残暑で始まり、これも季節外れと言っていいだろう、
立て続けに上陸した台風による災害。それに月末、中越地方を襲った大地震と、
イラクでのテロリストによる日本人拉致・虐殺。
これだけ並べるとなんともいやな月だったと思わざるをえない。
月が替って、中越ではまだ余震は続いているが、今月は何かいいことが起こってほしいものだ。
台風や地震は、誰もが自分の周りにこない事を念じているが、科学が進歩した今でも、
こればかりは人の力ではどうすることも出来ない。地球の温暖化とともに、自然を破壊しつづけている人類に対する、
自然の怒り、と感じた者もいよう。必要以上の不安感を煽るつもりはないが、地球温暖化については、
もっともっと真剣に取り組んだ方がいい。それも地球レベルで。このまま地球の温暖化・自然破壊が続くと、
生活環境は激変し、人類の生存に多大な影響を及ぼすのも、そんなに遠い未来の話ではないように思われる。
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イラクでの事件は、きっとそんな事も起こるかも知れない、
と思っていた事ではあるが、実際に目にするとやり切れない気持になる。被害に遭った青年のような若者が、世界中に、
恐らく何千人といるのではないか? だいぶ前になるが、エジプトやインド、それにアジア諸国を旅した際に、
そうした日本人と数多く出会ったし、中には日本を離れて何年にもなると言う中年(?)の日本人にも出会った。
そうした者の中には、日本で得られるような情報が得られない者達も数多くいる。
そうした者がふとイラクに入国するケースも考えられた。外務省ではあらゆる手立てで、
そうしたケースを避けようとしたのだが、残念な結果になった。
若者の無謀さを非難する声を一部聞くが、それは中らない。悲惨な結果にはなったが、若者の冒険心を非難してはいけない。
どんな時代にあっても、若者から冒険心を除くことはできないし、何事も、
知ろうとする欲求は、人類の発展にも寄与してきた。
指摘されることとしたら、その若者に危険を予知する能力が不足していた事であり、
あのような虐殺がいとも簡単に行われている現状だろう。
テロリスト達の狂信的・独善的な主張は問題外だが、あのようなテロリスト達を生む温床は一体なんなのか。
人は貧しさや、その貧しさから逃れるすべがなく、或いは自分の置かれた生存環境に絶望的になった時、
自分を表現する唯一の手段は暴力しかないと思い込む。
そういう人達をイスラム教の原理主義者が利用しているのではないか。
サウジアラビアにおける、オイルマネーを独占した王族達の大富豪と、一般国民とのとてつもない貧富の差に人々は絶望し、
一方ではイスラエルの圧倒的な武力に抑え付けられて、絶えず生存権を脅かされているアラブの人々の底知れぬ絶望感。
それはそういった環境におかれた人々にしか解らない、深刻な問題だと思う。
こうしてみると、テロリストに身をゆだねることに躊躇わない人の出る温床は、依然としてある。
ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、元々同じ一神教から派生した宗教だ。
そして自分こそ最も正しい、と思い込む一神教の原理主義者ほどやっかいな存在はない。
日本のやるべきことは、ただアメリカに追随するだけでなく、
テロリストに共鳴する温床をなくす事に手を差し出す事ではないか、とぼくは思う。
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アメリカの大統領選が始まり、今日(4日)にも決まるという。よその国の大統領選挙なのに、
これほど注目を集めているのは、ブッシュ、ケリーの激戦もあるが、アメリカの世界に占める影響力の大きさ違いない。
まさに「アメリカの時代」なのだ。
日本における「平家の世」、「徳川の時代」のようなもの。世界にあってはナポレオンの時代、オスマン帝国の時代、
大英帝国の時代のようなものだろうか。とすると、何れは滅びる。いや、影響力のなくなる時代も来る。
そういった変わり目には、必ず戦いが起こる。人類を亡ぼせる程の兵器をもった今、それは恐ろしい事だ。
アメリカの大統領よ、そこをよく考えて下さい。
<K.K>
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