「文学横浜の会」
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2014年 1月 5日
「近未来」
昨年、株が年初より50%程上昇したと言う。今年も景気は良くなるとの予測がメディアから報道されている。
いやいやそんな浮かれてばかりいられないとの報道もあるが、首相が音頭をとって株価の上昇気分を煽っている。
悪くなるより良くなる方が気分はいいが、そんなに浮かれていていいのかな、との思いもある。
目先を見れば税金は上がる、年金は減る、と年金生活者にはいいことはない。
現役労働者にしても、果たしてどれだけの人達が年収アップになるのだろう。
連合が賃上げを獲得したとしても、傘下の労働者の占める割合はそんなに多くはない。
先進国で多くなった派遣社員と呼ばれる人達の年収がアップしなければ、格差社会はますます広がるばかりだ。
アベノミクスと言っても、要は円を大量に吐き出して、円安に誘導することだ。円安は輸出企業の収益改善には貢献するが、
輸入に頼る企業は輸入に要する費用のアップで収益は悪化する。悪化させないためには商品の値上が必要だ。
物価が高くなれば、年収が上がらなない国民の生活は苦しくなる。
それにアベノミクスとやらで浮かれている間にも、国の借金は増える。
借金を増やしただけ税の増収を目論んでいるのだろうが、それがなければ借金は益々増える。
そうならない事を願うが、現実を見ればそんなに浮かれてばかりはいられない。
株が上がってニコニコ浮かれているのは株を持っている個人株主と企業、それに年金資金を運用している各種年金基金団体だ。
基金が増えたなら年金を上げてくれ、と言いたくもなる。
国民皆が喜ぶのは、平均賃金が上がると言う事ではなく、派遣社員の賃金が上がり、末端の労働者の賃金が上がることだ。
末端の労働者の賃金のアップ、格差社会の是正こそ急務な課題だ。
言い方をかえれば、消費税アップに見合う全ての人の賃金上昇が実現してからだ。
だからと言って消費税のアップには反対だとは言えない状況にあるのが今の日本の財政状況だ。
ならば税収に見合った予算にしろ、と言いたいのだが、そっれも出来ないとなれば、この先どうなるのだろう。
借金は殆ど国内からで、外国から借金をしている訳ではないから、そんなに心配ない、と言う識者もいるが、本音は違う筈だ。
この2・3年で税収がどうなるのか、国の借金がどうなっているのか、大いに気になる。
税収の改善が図れなければ、国は腹をくくった方がいいのではないか。
税収に見合った予算に徹するとし、必要経費を除いた費用で予算を組むと宣言するのだ。
必要経費としては人件費、年金・健康保険に関する費用、過去に発行した国債の利払い償還費用。
次に重要な費目としては外交に関する費用、安全に関する費用。
その他は予算ゼロ。
最も、必要とする費目だけでも税収より多い、と言うのが何年も続いているのが実態で、如何に難しい問題かが判る。
こうした事態に陥った責任は長らく政権を運営していた側にある。政治家の責任は重い。
近未来はどうなるのか判らないが、世界を見ればどの国も借金を抱えている。
借金をその国のGDP割合で比較すると、日本が最も高いのだが、借金で苦しんでいるのは同じだ。
何処の国も、いざとなったらハイパーインフレを起こして、借金を一掃する、とでも考えているのだろうか。
近未来、世界はどうなっているのだろう。気になる!
<K.K>
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