「文学横浜の会」

 エッセー


INDEX 過去のエッセー

2021年 5月14日


「コロナから生き延びた後」

 高齢者へのワクチン接種への動きが早まるとの報道がされている。

ぼくの知っている知人にも接種券が届いたと耳にする。 より年齢の高い方から連絡が行くのだろうが、政府が言っている7月末までにすべての高齢者にワクチン接種が完了する、 との言葉を信じてじっと待つほかはない。政府のいう事は信用できないのだが…。

ワクチン接種がコロナ騒動を終わらせる唯一の道だとすれば、ワクチンには多少の疑問があっても打つほかは無い。 だとすれば日本発のワクチンがないのはなんとも淋しい。 コロナ騒動が勃発して間もない頃、アメリカのトランプ政権がワクチン開発に国の威信をかけて1兆円もの予算をつぎ込んだのは、 今思えば正解だった。色々と問題だらけのトランプ政権だったが、唯一褒めてもいい措置だった。

それに比べて日本ではその頃、コロナが収束した際に必要だと「ゴーツー〜」のために2兆円もの予算をとワイワイ騒いで予算措置をし、 まだ収束もしていないのに反対を押し切って「ゴーツー〜」を国が推し進めたのとは大きな違いだ。 前政権から今の管政権にかけての事だ。

当時は日本国内での感染者数は米国と比べて極端に少なかった事がそんな政策を推し進めたのだろう。 だが、やはり結果論からみれば日本の政治家に先が見えていなかったと言うほか無い。 多くの識者が反対したのに「ゴーツー〜」と言う、結果的にコロナを日本中に拡散させる政策を強行したのだから。

それにイギリスで感染率の高いコロナの変異株が蔓延しているのに、水際対策が徹底されなかった事が、 今日の変異株の感染拡大に繋がっているのは間違いない。 イギリスの変異株コロナの怖さは一度入ってきたらたちまち広まってしまうと判っていたのだから。

島国の日本で徹底的な水際対策が取られていれば変異株は止められた筈なのだ。 入ってきたとしても数は少なくなっていた筈だ。台湾の例を見ればわかる。

まぁ、もう遅いから早くワクチン接種によってこの難局を乗り切るしかないのだが、 さて、オリンピックはどうなるのだろう。 政府はどうしても実施するとの方向のようだが、それまでに高齢者へのワクチン接種は終わるのだろうか。 高齢者への接種が終わったとしても65歳までの国民は安心していられるのだろうか。

日本政府のコロナ対策がしっくりいかない、失敗ばかりなのは「東京オリンピック」が念頭にあるからに違いない。 オリンピックの理念はどうでもいいとは言わないが、 日本でオリンピックをしたいのは経済的な理由で、諸外国からのインバウンドを当てにしていたからに違いない。 それなのに無観客でも開催とか、もう日本にとってはお荷物以外の何物でもない。

それもこれも政府の対応の拙さ以外の何物でもない。 それは以前にもかいたからここでは言わない。

ぼくはこのコロナ騒ぎにも生き延び、と勝手に思っているのだが、コロナ後の社会の変化を見てみたい。

このコロナ騒動で日本で社会の色々な問題が浮き彫りにされている。主なものとして、
・経済格差
・情報化の遅れ
・女性の社会進出と性差
がある。

「経済格差」は日本だけではなく、世界共通の問題だが、コロナ後には英知を集めて解決に取り組まなければならない喫緊の課題だ。 真面目に働けば誰でも普通の暮らしができる、以前にはあったそんな当たり前の社会に近づけるべきだ。 真面目に働いても年収200万前後の非正規労働者、不況がくればそんな職さえ奪われる人達にどんな未来を描けと言うのか。

「情報化の遅れ」は情報化による負の面もあるが、必ずやり遂げなければならない課題だ。 ぼくは必ずしも全てが合理的に処理される事がいい、 とは思わないが、情報化の進展に即した仕組みを整えなければならない、とはこのコロナで多くの国民が知った事だ。 しかしながら、ネット上のウィルス対策も疎かにしてはならない。ウィルスの入る余地のない絶対に安全なシステム、 そんな技術(システム)は出来ないものか。

「女性の社会進出と性差」についても色々と考えさせられた。森・元首相の発言を待つまでもなく、 この問題は男女共通に、多分に意識の問題だと思う。今回のコロナ騒動で若い女性の「生理用品問題」を挙げるまでもなく、 男女の賃金格差を始めとして早急に取り組まなければいけない。 世界はLGBT問題を始めとして性のグラデーションに対する偏見を無くす方向にもある。 つまり性に関しても従来の男と女だけではなく、その間にも色々な性があり、それを認め差別しない、と言う事だ。

まぁ、これらは理屈では判っているのだが…、とても付いていけないと言う方もおられよう。 特に性には男と女だけではなく、その間に様々性があるとは。

<K.K>


[「文学横浜の会」]

禁、無断転載。著作権はすべて作者のものです。
(C) Copyright 2000-2004 文学横浜