「文学横浜の会」
特集
「 箱 根 駅 伝 」
2004年の見どころ
12月に入ってもう本番までもう20日をきり、各種の前哨戦も終わって16人のメンバーも発表された。
この中から14人が残り、最終的に10人が襷を繋ぐ事になる。メンバーから各校の戦力を推測してみる。
これも箱根駅伝の楽しみだ。
各種の前哨戦とは言ってもそれぞれのチーム事情で、それらの結果からチームの比較はできない。あくまで参考でしかない。
前回から19チームと関東選抜チームとのレースだったが、今回は80回大会で、全国から選ばれる選抜チームが出場する。
出場チームは、駒沢大、山梨大、日本大、大東大、中央大、東洋大、東海大、順天大、日体大、中央学院大の10校がシードで、
予選上がりの法政大、亜細亜大、神奈川大、帝京大、東農大、関東学院大、早稲田大、城西大、国士舘大の19校と選抜チームだ。
今年のみどころは、なんと言っても優勝チームの行方だろう。学生3大駅伝と言われる出雲駅伝は日本大学が、
全日本大学駅伝は東海大学が制した。それぞれ最終区のアンカー勝負で決着がつく接戦だった。
3大レースの区間距離が違うとは言え、各校の力が拮抗している現れだろう。
前哨戦となるレースからも、何処の大学が有利だと言うデータはない。
箱根駅伝では各区間が20キロを超える駅伝で、前のレースは参考にはならないかも知れない。
大学によっては、箱根を念頭にレースをしたチームもあるだろう。関東の大学にとってはまず箱根なのだ。
それに予選会上りのチームでも優勝する可能性もある。それだけ箱根では<絶対>と言うチームはない。
とりわけ今回はどのチームにもチャンスはある。
優勝の行方と共に、シード入りする大学は何処か? との興味も膨らむ。今回は初出場の城西大と久しぶりに出場する東農大・
国士舘大のレースも見ものだ。まだ優勝候補には押せないが、区間によっては波乱を起こすかも知れないし、
襷が繋がるかにも興味がある(ちょっと失礼かな)。
今年のもう一つの特徴は昨年の藤原(中大)、松下(駒大)、尾田(関東大)と言った大砲級の選手が少ないことだろう。
その代わり土橋(日大)をはじめとして高校時代に活躍したいきのいい一年生が進学した。前の駅伝で活躍したとはいえ、
距離の異なる箱根でどんな成績を残すかも大いに注目点だろう。
いずれにしても、今年も大いにわくわくさせてくれるに違いない。
<駒沢大、山梨大、日本大>
・駒沢大
・山梨大
・日本大
<大東大、中央大、東洋大>
・大東大
・中央大
・東洋大
<東海大、順天大、日体大、中央学院大>
・東海大
・順天大
・日体大
・中央学院大
<法政大、神奈川大、帝京大、早稲田大>
・法政大
・神奈川大
・帝京大
・早稲田大
<亜細亜大、東農大、関東学院大、城西大、国士舘大>
各校ともエースはいないが、総合力で戦う。中でも初出場の城西大の戦いに関心が集まる。
1年生8人がメンバー入りし、他校にどんな戦いを挑むか…。
何れにしてもこれらのチームはシード入りを目指しての戦いとなるだろう。
<予想>
箱根駅伝の楽しみの一つは、何処が優勝するか予想することだ。
それにどのチームがシード権を獲得するかも、色々と考えて楽しんでいる。
選手にしてみれば「勝手なことばかり言って」と思うに違いないが、愛好者には楽しみなのだ。
で、今回の優勝チームは? となると、どの予想でもそうだが、これはと推せるチームがない。
もともと箱根では、どんなチームも絶対という事はない。走った10人のうち、誰か一人がブレーキを起こせば、
ブレーキとは言わないまでも体調管理に失敗すれば、優勝は遠のく。どんな選手を起用するかは監督・コーチの腕の見せ所だが、
今日までは調子がよくとも、当日はどうなのかは、誰にも判らない。
20キロを超すレースでは、ほんの一寸した体調の変化で、1分の違いはすぐに出る。
だから箱根は面白いのだとも言える。
私なりに、今回出場するチームを、次のようにグループ分けしてみた。 * * * * *
・優勝に最も近いチーム
駒沢大、大東大、東海大、日大の四校を上げる。
この中での勢いから言えば東海大、実績から言うと駒沢大、不気味なのが大東大、そして1年生の活躍次第では日大も……。
とこの四チームの中から優勝チームが出る確率は高い。
何処が優勝かとなると、、、難しい。その日、調子の良いチームが勝つのは確実だが、箱根は二日間だから一日だけでは駄目で、
やはり力のあるチームが勝つ。となると、やはり駒の揃った駒沢が有利、と私はみる。
・波乱を起こすとすれば
四校以外で優勝校が出るとすれば、山梨学院大、神奈川大、中央大、日体大を挙げる。
山梨学院大は大砲モカンバの働き、そして高見沢、橋の口らの日本人エースクラスが力を発揮して、他の選手がミスをしなければ、
やはり侮りがたい。
・上位を窺うのは
5位以内の上位に食い込める力のあるチームとしては、早稲田大、順天大、法政大、東洋大を挙げる。
・先ずはシード権
中央学院大、亜細亜大、帝京大、東農大、関東学院大、城西大、国士館大。
中央学院大、帝京大をここに置くのは、上位を窺うには総合力に今ひとつ、と感じるからだ。 <振り返って>
今年も二日間、テレビの前で釘付けになった。
何故こんなに面白いのか、自分が好きだからに違いないが、
学生達がこのレースに懸命に取り組んでいる姿に感動を覚えるからに違いない。
大学によっては知名度アップを狙って、本格的に取り組む大学もあるようだが、
実業団とは違う学生スポーツである事は忘れないでほしい。
さて、今回のレースを冷静に振り返ってみると「やっぱり駒沢大は強かった」と「箱根駅伝は他の駅伝とは違う」、
との感想を強く持った。私の素人予想で当った部分もあるが、大きく外れた部分もあり、それが箱根の面白さなのかも知れない。
前評判の高かった大東大がシード落ちしたのを始め、山梨大、早稲田大もシード落ち。出雲駅伝に勝った日大も10位と低迷した。
その反対に亜細亜大の3位には、正直、驚くと同時に、距離を中心にした鍛錬が如何に必要かを知った。
それに毎度のことだが調整の成功・失敗がもろに成績にあらわれる。
極端に言えば、持ちタイムや過去の実績など、なんの事はない。
20キロを超すレースでは、ちょっとした体調の変化で1分・2分の差がでる。
それが山上りの5区で起れば、他区間での連続ブレーキに等しい差となる。
悲劇は、前回中大におき、今回大東大に起きた。
今回は学連選抜の頑張りにも目を見張った。まだ2度目だが、
80回記念として全国の大学から選抜された各ランナーが、関東の学生には負けたくないとの思いが画面から伝わってきた。
1区の白濱選手は本来のキレのあるレースが出来なかったものの、
5区の鐘ケ江選手の区間賞は東海大の中井選手を抑えてのものだけに価値がある。
10区を走った北岡選手の粘り強い走りも印象に残った。
<往路>
昨年までの団子状態から、橋ノ口選手の飛び出しで、今年は今迄とは違う展開となった。
思えばスタート直後の鷲見選手の勢いから、なんとなく波乱を予感させるスタートだった。
橋ノ口選手の飛び出しでレースは比較的に早いペースで進み、
昨年までのようなレース展開を想定していた選手に少なからぬ動揺を与えただろう。
果敢に飛び出した橋ノ口選手だが、後半力尽きて日体大・鷲見選手と駒大・太田選手につかまり、
鷲見選手と太田選手の区間賞争いになった。日体大に力のある1年生が加わり、前評判は高かったが、
2区の1年生・保科選手の頑張りと合わせて、日体大の新戦力を印象付けた。
2区では各校エースの好・不調がそのままレースの流れになった。東洋大の三行選手は9位で襷を受け、
区間賞の走りで1位に躍り出た。反対に早稲田の空山選手はブレーキ気味で区間19位の走りで、チームは沈んだ。
その中で駒大のエース内田選手は区間7位の走りながら、東洋大に20秒あまりの差で3区に繋げ、優勝に大きく貢献した。
3区はつなぎ区間と言われているが、最近は準エースクラスを配置するチームも出てきた。
1・2区の勢いをそのまま繋げるため、或いは1・2区で出遅れたら早いうちに挽回したい意図もあるのだろう。
神奈川大の下里選手、法政大の黒田選手そして日体大の四辻選手はエースクラスの選手だ。
結果は、下里選手は区間賞の走りで、神奈川大は10位から3位にあげ、黒田選手も順位を上げた。
4区は結果的に駒沢大が独走態勢を固めた区間となった。
駒沢大の主力の一人田中選手が区間賞の走りで、2位の日体大に2分余りの差をつけ、
5区にエース中井選手を配置した東海大に4分以上の差をつけた。この時点でほぼ駒沢大の往路優勝は濃厚となった。
5区は東海大の中井選手の軽快な走りと、亜細亜大の鈴木選手のねばり強い走りが印象に残った。
その中で余りテレビ画面には映らなかったが、学連選抜の鐘ケ江選手の区間賞には驚いた。
体調管理と本人の能力は無論の事だが、登りには適性があるのだろう。
<復路>
6区、対抗とみなされていたチームの不振をよそに、駒沢大に余裕さえ感じられたのは私だけではないだろう。
最近は多くのチームが往路重視から、エースクラスを往路に投入するのに対し、駒沢大に穴はない。
往路が終わった時点で、優勝を争うと予想されたチームが2・3分先行してこそ、見ている方は面白いのだが、
筋書きのないドラマではそうはいかない。先行している駒大とて、コーチ・監督はじめ決して楽観していた訳ではない。
1分、1秒でも多く差を広げたいのが本音だ。何が起こるか判らないのが箱根駅伝なのだ。
気温が上がるとの天候予想の中で、駒沢大はブレーキを恐れてか、無難な走りに徹した。
その中で、前回と同様13位と出遅れた中央大だが、下りのスペシャリスト野村選手の走りには目を見張った。
前回の雪の中での快走を思い出すとともに、まさに下りのエースと呼ぶにふさわしい走りだった。
チームは13位から8位に浮上。これこそ真にエースと呼ばれる走りだ。
7区は東海大・小出選手の追い上げがあったものの、追い詰めるまでには至らなかった。
駒沢大・齋藤選手は区間3位の無難な走りで首位を守る。
この頃になると優勝とは別に、シード権を見据えた戦いが後ろの方では始まっている。
しかし往路つまずいた大東大、山梨大、早稲田大は一向に上昇する気配はない。
エースを復路にも配置した大東大だが、村田選手がエントリーされなかったことで、チーム状況は何となく察することが出来た。
山登りでのブレーキといい、恐らく調整に失敗したのだろう。日大も10位と、前評判が高たったにしては下位に甘んじていた。
8区もトップを走る駒沢大は無難な走りで、トップをキープ。2位東海大が7区・8区の連続区間賞で差を詰めたとは言え、
トップとはまだ4分近くの差があった。
9区では亜細亜大の選手が印象に残る。区間賞の走りで3位に上がる。
往路は3位だったものの、復路は後ろに下がるのでは、との思いが大方の予想だっただろう。
それが、今回の亜細亜大の好調さをまさに見せつけるような走りだった。持ちタイムもそれ程ではなく実績もない堀越選手だが、
駒沢大の塩川選手を押さえて区間賞とは! 長い距離を中心に鍛えてきた成果なのだろう。
10区、ここまで来ると、もう駒沢大の優勝はほぼ80%。余裕からか肩の力も抜けて区間賞の走り。
その他として学連選抜の選手が印象に残った。正直、登りでの区間賞はあったものの、
何処でシード権外に落ちていくかと見ていたが、粘り強い走りで、6番目にゴール。
<総括>
20キロを超すレースでは、ほんのちょっとした事でも大きな差となる。今回もチームの好不調がもろに結果に表れた。
好調さを印象付けたのは亜細亜大で、反対に調整に失敗したのが大東大・日大と言える。
優勝候補でも調整に失敗すればシード落ちしてしまうのだ。これも箱根駅伝の面白さの一つだ。
そして、やはり駒沢大は強かったとの印象が残る。
スキのない配置と、それを裏付ける豊富なメンバー、まさにそれが駒沢大の強さだ。
2・3年生の充実度から来年もこの強さはつながるだろう。どの大学が打倒駒沢大に挑むか、今年もまた目が離せない。
来年はどんな展開になるか、今から楽しみだ。
* * * * *
結果(シード権) (K.K)
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