「文学横浜の会」

特集

「 箱 根 駅 伝 」

    目次
2007年のみどころ H18.12/9

予想 H18.12/9
 ・優勝に最も近いチーム
 ・対抗として
 ・波乱を起こすとすれば
 ・上位を窺うのは
 ・先ずはシード権

 振り返って H19.1/7
 <往路>
 <復路>
 

2007年の見どころ

ー2007年箱根駅伝出場大学ー
 <シード校>
 亜細亜大、山梨大、日大、順天大、駒沢大、
 東海大、法政大、中央大、日体大、東洋大、
 <予選会上がり>
 早稲田大、専修大、中学大、國學院大、神奈川大、
 明治大、城西大、大東大、国士舘大、

 今年の見所は「東海大、駒沢大と亜細亜大の争いに、他大学がどう絡んでくるかの戦国駅伝」とみる。

 前回の箱根駅伝で、駒沢大は五連覇を逸した。 その時点では四連覇に貢献したメンバーが卒業して、次は戦力の低下が言われて、 優勝を狙うには時間が掛かると思われていたが、全日本大学駅伝を征してその懸念を一掃させた。 なんと言っても高校時代に活躍した三人の一年生の加入が力強い。

 対する東海大は佐藤(悠)と安達の存在が大きい。 全日本大学駅伝には出場できなかったものの、出雲駅伝では二連勝して、間違いなくトップクラスのチームだ。 初優勝を目指した前回は、スタートに躓いて箱根駅伝の難しさを実感しただろう。 経験ある上級生が卒業したとはいえ、今回も優勝にもっとも近いチームであることに間違いない。

 それにここにきて、上尾ハーフ、東海大でのレース結果から亜細亜大に注目したい。 前回も直前のレースでの結果から、ぴょっとしたらと思わせ、本番ではまさかの優勝を勝ち取った。 今回の前哨戦での結果は前回を上回り、他大学を圧倒している。 大砲と言われるスター選手はいないものの、間違いなく優勝を争えるチームになったとみていい。

 絡んでくる大学としては、順天大、を最有力に、 日体大、日大、中央大、東洋大と予選会から出てきた早稲田大、中学大を挙げる。 無論、そのほかの大学でも調整具合によってはトップ争いに加わる可能性は大だ。 前回の亜細亜大の優勝で、他大学でも優勝を目指す意気込みは大いに挙がったことだろう。

 今年、箱根駅伝の前哨戦といわれる「上尾ハーフ」「府中ハーフ」「横須賀シティー」に変化が生じた。 「上尾ハーフ」へ出場する大学あるいは選手が多くなったのだ。理由は「記録が出る」という事らしい。 「府中ハーフ」は今回は駒沢大の選手だけだったし、「横須賀シティー」も神奈川大(有力選手は不出場)だけだった。

「府中ハーフ」のあの狭い土手を走るコースは、自転車なども走っていて前々から疑問に思っていたが、 それにしても「上尾ハーフ」に集中しすぎではないか。 海岸沿いを走り、多少の坂もある「横須賀シティー・ハーフ」のコースがより箱根駅伝のコースに近いと思うのだが、、。

 勿論、これらの大会にすべての出場大学がエントリーしている訳ではなく、有力な選手も出場していない大学も多い。 また、大学内で独自に調整を続ける大学もあって、チームがどのような状況にあるかを見極めるのは難しい。 競争である限り、他チームの調整具合が気になるが、我々としては先のハーフのレースと、 日体大を始めとする大学主催の記録会、学連主催の記録会の結果からチーム状況を憶測するしかない。

 一方、毎年のことだが新一年生がどんな活躍をするのかも楽しみだ。 入学以来、既に各種レースで活躍している選手もいるが、新しいヒーローが生まれるのも箱根駅伝だ。 森(日体大)、宇賀地、高林、深津(何れも駒沢大)、松本(明治大)と既に高校時代に五千メートルの記録が13分台の選手が、 箱根駅伝でどんなデビューをするのか、これらの選手以外でも、どんな一年生が出てくるか、大いに関心がある。 一年生以外でも、どんな選手が初出場を飾るのかにも注目したい。

 昨日、16人のメンバーも発表された。春先に活躍していた選手がメンバー入り出来なかったり、 意外な選手がメンバー入りしていたり、とこれは毎回の事だ。1年を通して調子を持続させる事は本当に難しい。
 大学入学以来、合宿生活を続け、幾たびもの強化合宿に耐えてきた選手達だ。声援を送らずにはいられない。

<予想>

 毎回のことながら、これは全く個人的な楽しみである。
 1月2日、3日にいかにチームのコンデションを最高に整えるかの勝負だ、と解ってはいるが、 予想するのは楽しい。それを他人に言うのも楽しい。多分、選手諸君には迷惑な事だろう。

・優勝に最も近いチーム

 全日本大学駅伝を制した駒沢大と強力な2枚看板をもつ東海大、 それに前回初優勝して今回も勢いのある亜細亜大を挙げる。 他校は、間違いなくこの3校を意識しながらのレースとなるだろう。

・駒沢大
 4連覇した頃の圧倒的な強さは感じないものの、伊勢路を制した力と箱根に4連覇した経験は侮れない。 強力な1年生の加入でチームが勢いを盛り返した感がある。 上尾ハーフの記録には劣るものの、府中では2人が3分台の記録でゴールした。 大砲クラスがいないだけに、どの大学にも言えることだがブレーキを起こさず全員が力を発揮すればとの条件つきで、 優勝を狙えるチームであることは間違いない。 1年生が良い意味で爆発すると独走もあるかも知れない。
 難点としては箱根を経験した選手が少ないのと1年生の経験不足だ。 悪い方向に流れると思わぬ落とし穴があるかも知れない。

・東海大
 今年の全日本駅伝はよもやの予選落ちで出場できなかったが、出れば間違いなく優勝を争ったに違いない。 2枚看板の伊達、佐藤(悠基)の存在は大きいし、他にも力のある選手を多く抱えている。 2枚看板をどの区間に配置するか、他のチームでなくとも気になる。
 弱点としては、箱根での優勝経験がない事だろう。 前回は1区で躓いて、トップに立つこともなく終わってしまったが、今回はその経験が生きるだろうか。 それに、これはどの大学にも言えることだが、“山”をどう乗り切るかだ。 山登りで躓けば平地での3、4分のビハインドなど無いに等しい。

・亜細亜大
 上尾ハーフの結果を見て私の評価は変わった。前回は、<波乱を起こすとすれば>のグループに入れたが、 まさか優勝までは考えていなかった。今回も上尾の結果を見るまでは前回と同じ位置付けだったが、 50位以内に12人、それも全て1時間3分台となれば、幾ら記録の出るコースでも注目に値する。 12月2日の東海大での記録会でも2人の28分台と、それに近いタイムの選手が3人いた。 更に12月2日に行われた東海大のレース結果を見れば、チーム力は本物とみていいだろう。 大砲クラスの派手な選手がいないから目立たないチームだけに、一度躓くとトップに立てるだけの爆発力には欠けるが、 力を出し切れば、今回も優勝争いに加わる可能性は大きい。
 いづれにしても当日のチームの調整具合によると処が、どのチームに増して大だ。 難点は前回は無欲で本番を迎えられたが、今回は優勝を意識しているだろう。それが本番でどうでるか、、、。

・対抗として

・順天大
 なんといっても2年連続でMVPに輝いた、山登りの今井選手の存在が大きい。それに高校時代に活躍した、 所謂スター選手を抱えており、チームの潜在能力としてはトップクラスだ。前回は、8区でのブレーキに泣いたが、 それがなければ優勝していたかも知れない。戦いでの“たら、れば”は禁物だが、それだけチームの潜在能力はある。 この大学は伝統的に前哨戦となる種種のレースには参加しないから、チーム状態の推測は全くできない。 東海大の佐藤(悠)と並び称された佐藤(秀)選手も、やっと復調の兆しがあるとの声も聞くが、 優勝戦線に割り込むには今井選手以外に新しい選手の活躍が望まれる。

・波乱を起こすとすれば

・日体大
 高校時代に活躍したスター選手を多く抱えている点では他校にひけをとらない。 それが最近の駅伝ではスタートに躓いて、実力を出し切れない、消化不良のレースが続いている。 1万bのもちタイムが28分台の選手が1年生の森選手を含めて4人いることからみて、 力的には優勝を狙える潜在能力は高いとみる。
 過去の経験を生かして、今回はどんなスタートを見せるだろうか。流れに乗れば、、、期待を抱かせる。

・日大
 全日本大学駅伝の連覇は逸したものの、伝統的に箱根に掛ける思いは強い。 前回は2区での失速が祟り、トップ争いには加われなかったものの、果たして今回はどうだろう。 新加入の1年生ダニエルが20キロを越す距離をどのくらいのタイムで走るか、どの区間を任せるか、 それによっては他大学にも影響を与えるだろう。 ダニエルを含めて、1万bのもちタイムが28分台の選手が4人いることからも判るように、 チームの潜在能力は高い。ダニエルが爆発し、他の選手が力を発揮すれば、優勝を争うのは間違いない。

・中大
 出雲駅伝を終えた時点では、<上位を窺うのは>のグループと考えていたが、全日本大学駅伝をみてランクをひとつ上げた。 このチームは伝統的に箱根には上手く調整し、シード権を勝ち取ってきた。 今回はエースの上野選手を除いては、これといった選手は見当たらないが、新しい選手の台頭の兆しもみえる。 ハーフでの実績がないのが気になるが、上野選手をどの区間に投入するかが注目される。 優勝戦線に加わるには、新しい選手の台頭が不可欠だが、前哨戦のレースではその兆しはある。 いずれにしてもチームが良い方向に向けば優勝戦線に割り込める総合力はあると見る。

・上位を窺うのは

・東洋大
 派手なチームではないが、1万bのもちタイムが28分台の選手が5人いることからも判るように、 チーム力としてはトップクラスだ。 チームカラーとしては亜細亜大と似ており、大砲がいないだけにチーム力での争いに持って行きたい。 調整が上手くいけば、優勝を争える力は秘めている。

・早稲田大
 ヨーロッパ遠征の5千bですばらしい記録を出した2年・竹澤選手の調子が気になるが、 本番には本来の調子を取り戻しているだろうか。 竹澤選手に刺激されたのか、4年生が予選会では大活躍をして、予選会をトップで通過した。 過去にも予選会をトップで通過しながらシード落ちした経験があり、同じ監督の下、今回はどんなレースをするか楽しみだ。 予選会通りの力を発揮すれば、上位はおろかトップを脅かす力は秘めている。
 いずれにしても、これから本番までの調整能力に掛かっている。

・中学大
 木原選手がこのところめきめきと成長し、大砲としての存在感を現しだした。 周りの選手も刺激されて、チームとしては良い方向だ。予選会、上尾ハーフと木原選手はフル回転で、 本番でも大砲として力を発揮すれば、上位のチームも安泰ではないだろう。 優勝を狙うには駒不足だが、上位の選手が実力通りの力を発揮して、8、9、10番目の選手が百lの走りをすれば、 充分に面白い。
 懸念としては、予選上がりのチームに往々ありがちなことだが、本番までチームの好調さを持続させることだ。 それは予選会上がりのどのチームにも言える。

・先ずはシード権

山梨大、法政大、専修大、國學院大、神奈川大、
明治大、城西大、大東大、国士舘大

 ここに挙げたチームが先に挙げたチームに比べて圧倒的に力が劣っているというのではない。 コンデション或いはレースの展開によってはどのチームも優勝争いに加われる可能性はある。 神奈川大をこのグループに置かざるをえないのは淋しいが、本番ではどんな走りを見せてくれるだろうか。 前回、山梨大がシード権を獲得したように、どの大学もシード入りする可能性は大いにある。
 また、前回、2区で山梨大のモグス選手が区間賞を獲得してチームのシード入りに貢献したように、 これらの大学からどんなヒーローが生まれるかも楽しみだ。

<振り返って>

 改めて大砲と呼ばれる選手達の活躍にしびれるとともに、レース運びの難しさを思った。 毎回の事ながら、この箱根駅伝では、過去の実績や持ちタイムは参考にこそなれ、 レース結果とはなんの関係もないことを改めて思い知らされた。同時にエースと称される選手達が、 力通りの活躍をすれば感動を与える。

 12月8日の選手エントリーによって故障で使えない選手等、各大学のチーム事情がほぼ明らかになり、 12月29日の区間配置によって、各大学の“作戦”がほぼ明らかになっていた。 しかしレース当日に4人までが変更可能であり、当日までは、本当のところは判らない。 エントリー後、或いは区間配置後も、風邪等で体調を崩す可能性はあり、 各選手のコンデションは関係者以外、部外者には判らない。 いや、関係者であっても当日の選手の本当のコンデションは十分把握できてはいないだろう。 だからこそ面白いのかも知れないが、関係者には息の抜けない2日間に違いない。

 例年通り、当日メンバー変更された大学が幾つかあったが、予定の変更か、それともアクシデントによる変更かで、 チームに与える影響は大きいだろう。部外者にはその辺りの事情は判らない。 レースは予想されていた通りに東海大の佐藤(悠)選手の飛び出しに始まり、振り返れば、 それが今回の箱根駅伝の展開を暗示させていたように思う。つまりスーパースターの活躍と挫折だ。

 優勝した順天大は有力候補の一角に挙げられていたのは間違いないが、 今回ほど、前評判の高かった他の優勝候補が、大きく崩れたのも珍しいのではないか。 それだけ各大学の力が接近している証で、たとえ優勝候補と言われていても、一つ間違えばシード争いに追い込まれる。

<往路>

1区:
 東海大の佐藤(悠)のエントリーで、従来の堅実な走りから高速レースが予想された。 各校のエースを何処に配置するかで、チームの思惑が見えてくるが、優勝候補の一角に挙げられていた東海大の先行逃げ切りに、 他大学がどう対処するかが見物だった。チームによってはエントリーの変更も考えられたが、変更は1校のみだった。

 レースは予想された通り、スタート直後から東海大の佐藤(悠)選手が先行してみるみる、後続を引き離していく。 5キロ辺りまでついて行った東洋大の大西選手も徐々に引き離されて、区間記録を上回る記録で佐藤選手は突っ走った。 こうなると凄いの一言に尽きるが、逆に大丈夫か、との心配もでてくる。途中で足の異変を思わせる仕草もあって、 はらはらドキドキしながら観ていた。まさに大学駅伝の面白さだ。

後続の集団は4分離されて、1区でのこれほどの差はみたことがない。まさに“凄い”の一言だ。 2位はスタート直後、積極的に佐藤選手に付いて行った大西選手だったが、4分1秒差で、最下位の20位までは60秒余りで、 2位から20位までの差はそれ程ではなかった。

2区:
 各校のエースが揃うと言われる区間で、従来なら1区で先着しても順位が変動する区間だが、 今回は1区での4分と言う大差もあり、東海大の伊達選手も大砲クラスの選手で、この時点の先頭の入れ替えはまずない。 それより、貯金がどれぐらい増えるかとの関心があった。と同時に、山梨大のモグス選手がどれ程の記録を残すかに注目した。

 スタート直後、モグス選手は区間記録を上回る記録で走ったが、後半に登り坂のある2区はそんな甘いコースではなかった。 後半オーバーペースが祟ってペースダウン。大学長距離界では異次元の走りをするモグス選手だが、 ゴール寸前はジョギングのような走りになってしまったが、1時間8分53秒の区間6位、モグス選手には“挫折”感だろう。

 区間賞は堅実に走った早稲田大の竹澤選手だった。2位は東海大の伊達選手。
 この時点で2位の東洋大とは4分11秒差、優勝候補ともくされていた亜細亜大とは7分9秒差、駒沢大とは6分41秒差、 順天大とは6分36秒差だった。

3区:
 この区間はかつては繋ぎの区間と言われていたが、大学によっては2区の続きと考えて有力な選手を投入する大学もある。 中央大がそれで、今回もエースの上野選手を投入した。今回は天候が良かったためか、 1・2区でも区間記録を上回るスピードで突っ込む傾向があったが、上野選手もそうだった。 しかし後半にはやはり足に負担が掛かる。コースによってはそれが致命的にもなりかねない。 上野選手も後半に足に痙攣がきたようでスピードダウン。それでも区間賞で、チームを17位から8位に挙げた。

 トップ東海大、2位早稲田大とは2分13秒差、優勝候補ともくされていた亜細亜大とは5分49秒差、駒沢大とは5分59秒差、 順天大とは4分37秒差だった。

4区:
 この区間は18.5キロと一番短い区間だが、山登りを控えた大事な区間。各チーム少しでも良い順位にしたいところだ。
 区間賞は順天大の佐藤(秀)が取った。高校時代に佐藤(悠)と並び称された超スター選手だっただけに、 やっと結果を残したという感じだ。

 トップ東海大、2位東洋大とは2分19秒差、優勝候補ともくされていた亜細亜大とは6分40秒差、駒沢大とは5分52秒差、 順天大とは4分9秒差だった。

5区:
 この区間では順天大の今井選手の記録に注目が集まっていた。過去2回、圧倒的な強さで山を征した実績から、 先行する東海大を何処まで追いつめるかに注目していた。しかし1〜4区までの“まさか”も観ており、 どんな展開になるかドキドキしながら観ていた。

結果的には、凄い、の一言に尽きる。4分差を逆転して、さらに1分以上の差をつけるなんて誰が想像できるだろう。

 区間賞は今井選手で。昨年の自分の記録を破り、1時間18分5秒だった。
 トップ順天大、2位東海大とは1分42秒差、優勝候補ともくされていた亜細亜大とは7分16秒差、 駒沢大とは5分32秒差だった。 復路、トップ争いに割り込みそうな日大とは3分53秒差、この時点で、亜細亜大、駒沢大の優勝はほぼ絶望的になった。 結果的に大砲クラスの選手のいないこの2校には、1・2区の差が全てだったのではないかと思う。

<復路>

 トップ順天大を1分42秒差で追う東海大、3分20秒差の日体大、3分44秒差の早稲田大、そして復路に有力選手を 配置している3分53秒差の日大の順にスタート。全回は6位(2分51秒差)の亜細亜大が逆転優勝した事を考えれば、 この時点では日大までが優勝圏内と言えた。

 優勝争いとは別に10位のシード権争いが熾烈だった。6位の中学大から14位の中央大までは3分29秒差で、 9校(中学大、駒沢大、専修大、山梨学大、東洋大、明治大、城西大、亜細亜大、中大)がシード権を争うと予想された。 しかし展開によっては4位、5位の大学と言えどもシード権の争いに加わる可能性もある。

チーム関係者には気の休まる事はない。中大が3区の上野の爆走にも拘わらず、4区での大ブレーキ(区間20位)で、 18位に後退したように、1区間でも失敗があれば、たちまちシード権外に落ちる。

6区:
 山下りの特殊区間で、各校ともスペシャリストを揃えて望むが、走者には往路での勢いが微妙に作用する。 しかし“気負い”は後半に必ずしっぺ返しがきて、走者に重い負担を与える。それは判っているのだが、人間には心があり、 必ずしも自分の思うように身体も心もコントロールできるものではない。それが20キロを超える箱根駅伝の面白さだ。

 20キロを超える箱根駅伝で1分以上の差でトップにあるチームの強みは、前半自制して走れることだろう。 前半突っ込むと、同じような力の選手では、必ず後半その報いがくる。順天大は2位東海大との差を1分53秒と僅かに広げた。 3位には日大が上がり2分40秒差、こちらは僅かに1位との差を縮めた。

 シード権争いでは、中学大と明治大がそれぞれ9位10位と順位を下げる。
 区間賞は日大・末吉選手の59分29秒。

7区:
 上位はほぼ安定した走りで、1・2位に変動はないが、日体大・鷲見選手の区間賞の走りで日体大が3位に浮上した。
 シード権を巡る争いか熾烈だった。 5位の駒沢大から14位の前回優勝校・亜細亜大との差は3分51秒で、10校が争っていた。 その中には4年振りのシード権を狙う早稲田大、21年連続シード権中の中大、前回優勝校の亜細亜大などが含まれていた。
 区間賞は日体大・鷲見選手の1時間4分38秒

8区:
 1・2位に変動はなかったが、3位に日大が再び浮上。10位に浮上してきた中大だが、 後半に入って森(誠)選手が俄かにおかしくなり、昨年の順天大・難波選手のブレーキの再現かと思わせたが、 大事には至らず、関係者はほっとした事だろう。森選手のアクシデントで中大は順位を12位に落としたものの、 10位とはまだ15秒差でまだまだ射程権内にある。

 シード争いで言えば、5位の東洋大から13位の山学大まで、およそ3分21秒差で、まだまだ混沌としている状況だった。  区間賞は東洋大・北島選手の1時間6分28秒だった。

9区:
 1位の順天大は2位東海大との差を3分20秒と開いて、アクシデントがない限りほぼ安全圏となるタイム差とする。 1位から5位の東洋大まで順位に変動なし。5位の東洋大はトップとの差は8分15秒と開いたものの、 アクシデントがない限り、まずシード権内は確保。

 シード争いは6位の早稲田大から11位の城西大までは2分40秒差で、6校(早稲田大、駒沢大、亜細亜大、専修大、 中大、城西大)の争いが濃厚となった。特筆すべきは10年前の優勝校・神奈川大が襷を繋げなかったことだ。

 区間賞は順天大・長門選手の1時間10分6秒だった。

10区:
 シード争いとは別に、トップを走る順天大・松瀬選手の足取りは、2位との差からくる余裕もあるのだろうが、軽快だった。 堅実に走ってくれさえすれば、との関係者の心配をよそに、区間新の走りは見事と言う他ない。2位に日大が上がり、 東海大が3位に後退。

 激しいシード争いも、城西大・福岡選手のスピードが上がらず、そのまま11位でゴール。一時は駒沢大を含めた、 4チームが順位を争ったが、駒沢大が抜け出して7位をゲット。以下、中大、専修大、亜細亜大がシード権を獲得した。

結果:
 順天大、日大、東海大、日体大、東洋大、早稲田大、駒沢大、中大、専修大、亜細亜大、
 以上シード権
 以下、
 城西大、山学大、中学大、大東大、法政大、国士舘大、明治大、学連選抜、神奈川大、国学院大

(K.K)


[「文学横浜の会」]

禁、無断転載。著作権はすべて作者のものです。
(C) Copyright 2000 文学横浜