「文学横浜の会」
特集
「 箱 根 駅 伝 」
2018年の見どころ
ー2018年箱根駅伝出場大学ー
青山大の4連覇なるか! は無論だが、
今回は本命なき戦国時代の幕開きとも思え、何処の大学がシード権を獲得するかがに興味がつきる。
それは出雲駅伝や全日本大学駅伝での優勝チームが東海大と神大となったから、と言う事もあるが、
箱根駅伝の距離を考えれば、チームの調整・仕上がりによってはどのチームが上位にきてもおかしくない。
それだけ各大学の戦力差に、絶対的優位、とみなされる大学はないと言う事だ。
毎年選手が入れ替わる大学チームにあっては、それは必然の事であり、だから面白いのだが、
各大学にとっては新入生の勧誘から、もう戦いが始まっているのかも知れない。
だからといって行き過ぎた勧誘は考え物であり、18、19歳の若者にとっては、入学後の伸びしろに大きな差があり、
各大学の選手育成指導にも、関心が及ぶ。
そうした中で、全日本大学駅伝でチームを優勝に導いた、神大・鈴木(健)選手の大学入学後の成長には目を見張るものがある。
それは前回、エースの集まる2区で区間賞を取り、その存在を巷間に広めたのだが、大学入学後、急激に成長した好例だろう。
選手の努力もさることながら、個人の能力を高めるには大学のサポートも欠かせない時代だ。
さて、大学長距離界の記録更新、と言うかチーム全体の能力更新は目覚ましい。
かつては1万メートルのタイム28分台の選手が、強豪校と言われるチームで1,2人程だったが、
今は出場するチームではそれは当たり前だ。強豪校と言われるチームは10人の平均タイムが28分に近い。
最も1万メートルの持ちタイムが良くても勝てないのが箱根で、20キロを超すレースでは、如何にその日に調整を合わすか、
との戦いとも言える。
また最近の箱根では3連覇、4連覇がせいぜいで、かつての中大・6連覇のようなチームは現れていない。
注目度の違いもあるだろうが、面白い事に監督の注目度が上がると、つまりマスコミへの露出度が多くなると、
チームに衰えが出てくるように見られる。その意味からいっても青山大の4連覇に関心はあるが、
今回に限っては、今後何処の大学がのしてくるか、推理する意味からも順位に注目したい。
<予想>
毎回のことながら1月2日、3日の本番に向けていかにコンデションを整えるかの勝負、と解ってはいるが、
予想するのは楽しい。
区間エントリーが気になるが、ここ数年は1区を重視する傾向があり、今回もその傾向は変わらないと思うが、
1・2区、或いは1〜3区を一つの目安と考えるチームが多く、シード入りを目指すチームはこの区間に主力を投入して、
レースの流れにのりたいところだ。
つまり優勝を狙うチームはトップ、或いはトップの見える位置にいる事を目安にして、
尚且つ実力のある選手をそれ以降の区間に継ぎ込む。
5区の距離が短くなったとは言え、往路の順位に大きく左右されるのは同じだ。
そして5区に実績のある選手がいるかどうかによっても往路のレースを作用する。
つまり5区の山登りに適した選手の見極め、配置できるかも重要な要素だ。
・優勝に最も近いチーム
青山大
今年の出雲、大学駅伝には惜敗したが、距離の長い箱根ではやはり筆頭だろう。
とは書いたが、1校をあげるとすればで、積極的に推している訳ではない。
欠点があるとすれば3連覇した昨年までの勢いがないのが気になる。
それに新しい戦力の台頭が見られないのも優勝を狙うチームとしては淋しいし、勢いの見られない原因でもある。
・対抗として
東海大、東洋大、
両校、対照的なチームだ。東海大は1・2年生のこれからの新興チーム。対して東洋大は実績を積んだ老舗チームと言った感じか。
東海大が優勝を狙うには、1・2年生が如何に距離をこなせるようになったかであり、
東洋大は何処の区間でも失敗をしないレースが出来るかだろう。
両校とも各区間を上位で走りきれば優勝も見えてくる。スタートでつまずけば、沈んでしまう危険性もある。
特に東海大は波に乗ればあわよくばとなるが、反対に流れれば昨年のようにシード争いと言う可能性も残る。
・波乱を起こすとすれば
神大をあげる。
なんと言っても鈴木(健)効果とでも言おうか、エースの存在は大きい。
チームとしての底上げもあり、チーム力は昨年より確実に上がっている。
半面、絶対的なエースであるがゆえに、エースにもしもの事があればシード争いと言う事もある。
これはすべてのチームに言えることではあるが。
・上位を窺うのは
早大、順大、日体大、駒大を上げる。
この4校の中では順大、日体大が不気味だ。いずれも嘗ての有力校であり、箱根の戦い方も熟知している両校だ。
それに両校とも1万メートルの持ちタイムも青山大に引けを取らない。
それこそスタートを失敗せず、山登りもうまくこなして、復路をトップ争いに加われれば…。
早大と駒大はやはりこれまでの実績だろう。
両校ともこれと言ったエースが不在なのも欠点で、余程失敗なく良い方向でレースができれば、との条件つきだ。
1区でも失敗すればシード争いの可能性も強い。
・先ずはシード権
法大、中学大
恐らく、今回のレースでは最も面白いのではないだろうか。
どのチームもシード権を獲得する可能性はあり、1区間でも失敗すれば圏外に突き落とされる危険もある。
12チームの中では最も安定したチームは中学大だろう。チーム力も昨年よりアップしているので、上位を狙う力は十分にある。
地味なチームでもあり、優勝の実績がないのが予想する方で上位予想できないだけだが、
先に挙げた8チームと比べても遜色ないとみる。
予選会を1位通過した帝京大も上位を狙う力はある。
大東大、中大、山学大といった過去に優勝経験のあるチームのレース運びにも注目だ。
特に前回連続出場を逃した中大は新戦力を多くエントリーしており、これからのチームとみたい。
今年の結果次第では、嘗ての強い中大が復活するかもしれない。
いずれにしてもスタートの流れに乗れるか、山を克服できるかにかかっており、熾烈な戦いになることは間違いない。
前回5区の距離を以前に戻したことにより、5区でのタイム差が縮小され復路の時差スタート・チームが減ったが、
なるべく多くのチームが復路では時間差スタートをしてもらいたい。見る方でもその方が面白い。
さて今年はどんなレースになるのだろう。番狂わせがあるのか、
どんな新しい新人が出てくるか、大いに期待したい。
<振り返って>
一言で言えば、青山大は強かった、に尽きる。
箱根駅伝と出雲駅伝や全日本大学駅伝との違いをまざまざと見せつけられたレースでもあった。
そして青山大の選手層の厚さを見せつけられた。青山大の強さに憧れて例年優秀な高校生が入学し、
学内での競争意識が働いているともいえるが、育成の面でも機能していると思える。
20キロを走れる選手を10人揃えなければ優勝はおぼつかないが、シード権を取るのさえ難しい。
青山大に対抗するためには各区間で上位で争える選手をそろえなければいけない。
と言う事は各大学でエースクラス、順エースクラスを10人作らなければいけないと言う事だ。
しかし青山大に盲点がない訳ではない。各選手にゆとりをもって走らさなけっればいいのだ。
1分以上離されないような配置を組めれば、青山大といえども今回のようなレースは出来なかっただろう。
逆に何処かの区間で1分以上離せる区間、特に復路でそうしたレースが出来れば、面白い展開になるに違いない。
何れにしても今回も大いに楽しんだ。
<往路>
東洋大の1年生の頑張りが印象に残った、と共に東海大が20キロに対する不安が早くも現れ、優勝争いから遠ざかった。
注目の神大は1区の出だしは去年と変わらないが、2区で予定どおりにトップに出られず、この時点で優勝の目はなくなった。
しかも神大は山で撃沈し、まさかのシード圏外。
東洋大が2位青山大に36秒の差をつけてトップでゴールした。
今回も山登りで順位が大きく変わり、シード争いにも大きな流れを作ったと言える。
各大学も山対策はしているだろうが、山でブレーキを起こせば致命的になる。
山登りで上位順位で登った大学がシード内に入り、シード争いでは優位になった。
<復路>
復路では6区の結果が今回のレースそのものだとの印象だ。
つまり復路では10位とシード権内にいた中大は6区のブレーキで、12位と後退し、
区間6位で走った中学大が10位のシード権内に入り、そのままシード権を獲得した。
6区を終わった時点で青山大が逆に東洋大を52秒リードして終わったのが、結果的には大きかった。
1分近くの差がついて、前を走る選手はゆとりが生まれ、逆に追う選手には、実力差があればべつだが、負担にもなる。
こうなると流れは青山大で、7区、8区と3区連続での区間賞で、青山大の強さだけが印象に残った。
シード争いでは、往路の終わった時点で4位拓大と12位・帝京大との差が1分42秒で、その中に9チームいた。
しかし6区を終了して10位・中学大と11位順天大の差が2分40秒になり、
順天大がシード権にはいれるかどうかの展開になった。
結果的には届かず、6区を終わった時点でシード権内にいたチームが順位の変動はあったもののシード権を獲得した、
結果: (K.K)
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