「文学横浜の会」
特集
「 箱 根 駅 伝 」
2020年の見どころ
ー2020年箱根駅伝出場大学ー
今回は混戦模様の中から、東海大の2連覇なるか!
現在の大学長距離界の3強と言えば、東海大、青山大、そして東洋大であろう。
それに次ぐ実績を残しているのが駒沢大だが、その勢力関係が動きそうな気配を感じる。
2、3年前は青山大が他校を一歩リードしていたが、現在の力からみれば東海大が少しリード、
と言った感じではないか。東海大の3年前黄金世代と言われた世代も今年は学生最後の箱根となり、
東海大としてはここで連覇したいところだ。
東海大、青山大に続くのが東洋大、駒沢大だ。
来年の東京オリンピック、マラソン日本代表に両校の卒業生が選ばれた事も、両校にとってプラスに働くだろう。
何れも箱根で活躍した選手であり、これからは箱根で実績を作りマラソンへ、との動きが更に加速するだろう。
各校の指導者もそうした選手造りを念頭に指導している結果が出たとも言える。
しかし今年は4校も圧倒的に他校をリードしている、と言う状況ではなくなった。つまり他大学との力の差も、
以前ほどではない。特に、出雲駅伝を制した国学院大、箱根予選会を圧倒的な強さで1位通過した
東国大は侮りがたい。
箱根常連校の山学大、大東大が予選会を勝ち上がれなかったのは大きなニュースだった。
予選会の天候もあったのだろうが、各校の力が接近しているのもその表れであり、早大や中大といった常連校も、
9位、10位通過であり、どんな有力校でも、予選会を通過すのは難しい時代になった。
長距離のレースはチームの調整具合で大きく作用されるが、個々の選手の実績、個人の持ちタイムを比較しても、
年々向上しており、大学間の格差も少なくなっている。
つまり箱根では1万メートル28分の持ちタイムより、ハーフマラソンの持ちタイムの方がより重要になった。
ハーフマラソンの持ちタイムが1時間1分台の選手が学生長距離では一流選手の時代になったのだ。
今回は26年ぶりの箱根出場を果たした筑波大の走りも今回の注目点となろう。
<予想>
選手の好不調、或いはアクシデント等のチーム事情は直前まで判らないが、直前の選手配置、
2区を終えた時点でのチーム位置によって事情は判るだろう。
東国大が1区に留学生を投入するかどうかも大きな注目点だ。
もし2区に予選会で日本人トップの有力選手が起用され、予選会のような走りを見せれば、
他校に差をつけて2区を終える可能性もある。
大きな差をつけられれば、有力校といえども動揺するに違いない。
往路はよもや、の事もある。
何れにしても今回も5区、6区の山の区間が順位に大きな影響を与えるだろう。
・優勝に最も近いチーム
東海大
やはり全日本大学駅伝に優勝した実績は大きい。
難点があるとすれば、実績のある4年生が、期待通りの実力を発揮できるかだ。
今年は怪我や体調不良で満足なレースをしていない有力選手がいるのも気になる。
それでもそうした選手がいなくとも伊勢路を制したチーム力は侮りがたい。
だが今回は、と言うよりどの大学をあげてもそうだが、東海大といえども絶対ではない。
1区を終えた位置によっては、というより1区でもブレーキを起こせば悪い結果に繋がることもある。
それが大学駅伝の面白さなのだ。
・対抗として
青山大、東洋大、駒大
3校とも、東海大に次ぐ選手層である事は確かだ。
また、3校とも絶対的な大エースが不在。
この選手が出れば相手がどんな選手でも2、3分の差は逆転してくれるといった大エースはいない。
3校ともチーム力で戦う訳だが、1区でも崩れると挽回は難しいし、5区の山登りが大きな比重を占める。
その山登りだが、嘗ての柏原、神野といった圧倒的に強い選手は出ていない。
もし彼らに匹敵する選手が現れれば、有力な優勝候補だ。
反対に失敗すればこれらのチームといえどもシード争に沈む危険性はある。
・上位を窺うのは
国学大、帝京大、順大、東国大を上げる。
4校の中で国学大、東国大の勢いをかいたい。
国学大は出雲駅伝に優勝した勢いを再び、との思いもあろうが、1.2区の出だしが重要になる。
2区を終わった時点で上位にいて、5区の結果次第では往路優勝も夢ではない。
東国大は予選会を1位通過した勢いをそのまま維持できれば、上位行と言えども侮れない。
留学生をどの区間に起用するかも、他校は気をつかうだろう。
仮に1区だとすれば、他校を大きく引き離す作戦で、1区は早い転回される可能性がある。
2区にも有力な日本人選手を配置していたら、どう対処するか、往路優勝を狙うチームとしては悩ましいだろう。
帝京大、順大はどちらも大エースはいないもののチームは充実している。
どちらも1万メートルの持ちタイムの上位10人の平均が28台と、上位校にひけをとらない。
4区まで失敗なく走り、5区の山登りの結果次第では上位も見えてくる。
何れにしてもこれら4校は上位4校の牙城を崩す可能性は大いにある。
・先ずはシード権
法大、拓大、中学大
不気味なのが中学大、明大、日大だ。
もちタイムからすればどちらも上位をうかがってもいいチームだが…。
中学大はこれといったエースがいない、明大はエースといわれる阿部選手が本調子で出場できるかの不安だ。
何れにしてもスタートで躓かず。5区さえ無難にこなせば上位にいけるちうからはある。
創価大、日大、国士大は有力な留学生がどこまでチームをひきあげるか、
そこにつなげる日本人選手がどの位置でタスキを渡すかだろう。
何れにしても当日にチームのピークを持っていけるのか、それにかかっているし、
箱根では5区にどんな成績を残せるのかもシード権をとるには大きい。
さて今年はどんなレースになるのだろう。番狂わせがあるのか、
どんな新しい新人が出てくるか、毎度の事ながら大いに期待したい。
<振り返って>
今回のレースは高速レースだった。
特に2区、3区、6区では予想もできなかった区間新記録を叩きだし、恐らく当分の間、
破られないだろう高記録だと思う。特に2区の記録は日本人選手の記録であり、
日本の大学生のレベル向上を示すものだ。
この3区間以外でも区間新記録が出て、天候の影響もあったのは明らかだが、
学生長距離のレベルアップは間違いない。
それに新興勢力の台頭が目覚ましく、東国大、創価大がシード入りも特筆すべき事だろう。
両校とも新しい監督を迎えての箱根駅伝初シードとなり、
これからも目が離せない存在になるのは間違いない。
と同時に、高速レースにも関わらず、1年生の華々しい箱根デビューも見られた。
特に青山大の岸本選手、駒沢大の田澤選手の走りは眼を見張るものがあり、
これからの成長によっては学生長距離、いや日本長距離界で目が離せない存在となる予感を感じさせた。
両選手にライバル心を燃やす同学年もいるだろうから、これからの成長も楽しみだ。
今年も予想は外れたが、十分に楽しめた!!
<往路>
スタートする前は東国大の留学生が1区に入るとの予想もあり、ならば一人飛び出すと予想していたが、
留学生は3区での起用となり、どんな流れになるのかと注目して観ていた。
失敗の許されない1区では、例年ゆったりとしたペースで始まる事が多いのだ。
しかし今回は違って、スタート直後からハイペースで進み、10キロを28分台のラップだった。
ついて行けない選手も何人かはいたが、それでも十数人の集団で10キロを通過したのに驚くとともに、
後から振り返れば今回の高速化レースを暗示していた。
1区の区間賞は創価大の米満選手。
2区は東洋大の相澤選手の走りにつきるが、その快走によって7位に浮上するも、
トップに立てなかった事でチームの勢いを取り戻すまでは至らなかったのは痛手だった。
逆に青山大は1年生岸本選手を配置したが、各校のエースが走るこの区間での起用は賭けのようにも思われた。
結果、区間5位ながらチームはトップに立った。
振り返って見れば、この区間での走りが、今回の青山大優勝に大きかったと思う。
青山大優勝の立役者は岸本選手と言ってもいい。
2区区間賞は東洋大の相澤選手。
3区ではなんと言っても東国大の留学生の走りだ。東国大の2区日本人エースの走りも凄かったが、
3区での東国大の留学生ヴィンセントの走りはまるで異次元の走りで、チームはトップに立った。
3区区間賞は東国大のヴィンセント選手。
4区に入り、優勝候補と目されていた東海大と青山大との差は約1分あまり。
この時点では有力校とみなされていた東洋大、駒沢大との差は広がって、
大方の予想通り青山大と東海大2校の争いの色合いが濃くなった。しかし箱根では何が起こるか判らない。
1区間でもブレーキを起こせば2,3分のさはすぐ縮まる。
しかし今回の青山大は違った・4区は区間賞の走りでトップを取り返し、東海大とのさを約2分に広げた。
4区区間賞は青山大の吉田選手。
5区に入り、山登りでは2分の差は選手の調子によっては安全な貯金ではない。
毎回大きな変動があるので見守っていたが、
青山大は区間2位の走りで東海大との差を更に広げて往路優勝。
5区の区間賞は東洋大の宮下選手。
東洋大は1区で出遅れ、2区では快走したもののチームの流れが悪い方向に傾いたか11位で往路を終えた。
有力校でも流れが悪ければ、或いはチームの調整に失敗すればこのような結果になる。
もう一つの有力校の駒沢大も8位と、一度も首位に絡めず、失敗レースといえるだろう。
<復路>
復路はトップに立つ青山大を、優勝候補の一角、4位3分20数秒差でスタートする東海大が何処まで追い上げ、
あるいは逆転するかに焦点が集まった。
もう一方の焦点は往路で善戦した東国大、創価大がシード入りできるかどうかも焦点だった。
両校ともシード入りできれば初めてとなる。
留学生の力も無論あるが、それに刺激されてか日本人選手の成長にも目を見張るものがある。
レースは往路1位の青山大から12位の中学大まで時差スタート。
13位の中大から20位の筑波大までが一斉スタートした。
6区では東海大の追い上げがあり、まだまだ優勝の行方はどちらに向くのか判らない、見ている方としては面白い。
東海大の館澤選手の追い上げは激しいものの、逃げる青山大の選手も区間新の走りで、
その差を1分余り縮められただけにしたのも、振り返ってみれば大きかった。
ここで平凡な記録の走りだったら、恐らく、東海大の選手からは目の届く距離になっていたら、
その後の展開も違ったものになっていたのではないか。
6区の区間賞は東海大の館澤選手。
7区では2分30秒余りの差でスタートした東海大だが、差はあまり縮まらなかったが、東海大は2位に浮上。
青山大との差を少し縮めたことで、東海大のさらなる追い上げを見守っていた。
7区の区間賞は明大の阿部選手。
8区に入っても流れは変わらず、なかなか青山と東海との差は縮まらない。両校とも区間1位、2位の走りで、
3位以降との差は広がったが、青山、東海との差は変わらなかった。
8位の区間賞は東海大の小松選手。青山大の岩見選手とは1秒差の区間賞だった。
9区では青山大の神林選手の走りが際立った。結果この区間でほぼ青山大の優勝が見えてきた。
一方、シード権争いは中学大と創価大の10位、11位争いとなっていて、
この区間で一歩リードした中学大がほぼ決着がついたかに見えた。
9区の区間賞は青山大の神林選手だった。
10区では創価大の嶋津選手の走りが驚きだった。11位からみるみる中学大を抜き去り、
前を走っていた東洋大をも抜き去ったのだ。申し訳ないが無名の選手で、持ちタイムも平凡な選手だ。
これが箱根の力なのだろうか。潜在能力があったのだろうが、凄い!、と言うしかない。
10区の区間賞は創価大の嶋津選手だった。
結果: (K.K)
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