「文学横浜の会」

 新植林を読む


2021年 6月28日


「新植林66号」



「巻頭言」

 日本の、特に地方の過疎化に触れ、山里の村落が消えゆく現実を諦観をもって書かれている。
これは少子化にもよるのでしょうが、移動手段の高速化にもよるのかな、とも思う。

随筆「日々是好日」               斎藤 剛

 コロナ禍の中、アメリカでの生活四十二年、作者の終の住みかと定めた地での日常が書かれている。

エッセイ「おじゃまでしょうが(幼児虐待)」   中條喜美子

 作者の体験を踏まえた「幼児虐待」について書かれている。
日本もアメリカ化して来たと云うのだろうか、幼児虐待問題がマスコミに多く取り上げられるようになった。 書かれているように、ストレスの多い現代社会では、虐待に至る親のケアも大事なんだな、と思う。

小説「福島ラプソディ(九)」          中野隆一郎

 「海辺のホームステイ村」がいよいよ始まったようだ。

小説「宴」                   シマダ・マサコ

 ロシアからの移民となる裕子の夫の母親の一族が集まって夕食を共にする。
それぞれがロシアから上海、そしてアメリカへ渡る経緯により微妙に人間関係に蟠りを生じさせているようだ。 さぞかし異国での言葉の齟齬、文化の違いで裕子には辛い事だろう。

フィクション「シニア楽園」           柳田煕彦

 今回は第1章という事で、シニア世代が集まって独特の生活基盤を築く過程が描かれている、と読みました。
作者には野草に関する知識があり、これからどんな展開になるのだろう。

ノンフィクション「私見・環境と人間(九)」   清水克子

 日本の農作物は美味しいと思っているが、最近、アメリカの果物も品種改良が進んだのか美味しくなった、とある。
アメリカ保健所の厳しさにも触れ、それぞれの土地土地に、美味しいものはあると云っているのだろうか。

随筆「在米半世紀の回想録(第二十七稿)」    井川齋    オレゴン大学・大学院在籍期(その十一)

 この稿で、作者には12年ぶりになる(1970年代?)日本への調査行について、以下の稿に分けて書かれている。
*渋谷の若松家
*赤坂見附の「べ平連」本部
*岩波書店・「世界」誌編集部にてフレミング教授代表作の訳者に会う
*小林文次教授宅訪問と東大(駒場キャンパス)で社会学・高橋徹教授の講義聴講
*小林文次教授とのその後における関係
時代は、日本では正に「べ平連」の活動が華やかで、私の認識では、アメリカはベトナム戦争で疲弊した時代だったと思い出します。

小説「インディアン サマー(二十八)」     杉田廣海

 ボート仲間の山川さんを介して戦争体験のある直木賞作家と知り合った事が書かれている。
その作家とは山川さんとの繋がりで、付き合う事になる。

文芸誌 in USA 新植林
第66号・2021年 春期
e-mail:shinshokurin@aol.com
homepage: http://www.shinshokurin.com
定価:7ドル+TAX

<金田>


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