第7回原宿句会
平成3年7月7日 入谷朝顔市吟行
入谷天盛にて句会・朝食
   
 

  東 人
鉢頭上花芽を高く朝顔市
法被掛け鬼子母神前三尺寝
朝顔の寺の厄よけ火打ち石
膝下のカメラアングル朝顔市

  美 子
売り声に咲かぬ朝顔鬼子母神
てんでんに牽牛花下げて天婦羅屋
空で来て両手朝顔下げ帰る
朝顔や人に見られて咲きにけり

  白 美
朝顔を海老様と呼ぶせりの声
護摩けむり朝顔消えぬ鬼子母神
紅の爪で選びぬ青朝顔
乞食の黙して通る朝顔市

  利 孟
団十郎口説き文句の朝顔屋
とりどりにしおれ朝顔裸球
姐さんの紅と同じと朝顔売り
朝顔や人の絵気にす似顔絵師

  内 人
朝顔屋立ちいばりする背中あり
豆しぼり団十郎を売り惜しみ
風鈴のひとつ鳴りおり寺の朝
向き合て色それぞれに大輪花

  外 人
我れ見よと朝顔のつる背をのばす
朝顔の鉢より多し人の波
朝顔の鉢売る人のかすれ声
朝八時朝顔行きかう入谷駅

  若 夫
育て主今日から変わる団十郎
地下鉄の駅でお迎え団十郎
両の手に嬉し恥ずかし団十郎
朝顔を江戸で助ける浪花人

  千 尋
ゴム草履つま先に触れ逃げていく足
朝顔の鉢持ちよりて色に微笑む
自転車の前と後ろに朝顔の鉢