原宿句会148回例会点盛り
東人
落鮎や脇往還の渡し跡 宮○古利○
もう読まぬ本を間引ける夜長かな 利◎笹
髑髏抱くやうに壺抱く雨月かな 白利
どの舟も入れ喰ひとなり鯊日和
漬け込んで甘き香りの唐辛子

千恵子
雨月なほ母は正座を崩さざる 宗笹○希○室○
唐辛子乾きて赤の騒々し 宗室◎
川底に揺れる砂紋や鯊の潮 宗古室
カーテンの中に秋陽のふくらめる 宗利武
夜長かな腹空き嬰の泣き出せる

利孟
釣るたびに親の元へと鯊日和 宗○希白笹
手返しに玉露注ぎ分け無月かな 宗○希室
ことさらに小粒がシャムの唐辛子 宗笹◎
筆先を打ちて金蒔く夜長かな
還暦を越えてこれから鳥渡る(悼志ん朝
希覯子
子に背き日々好日や夜の長き 宮◎室
よき沙汰の三番瀬沖鯊を釣る 宗宮白
人住まぬ噴煙の島無月なる 宗武○
車庫となる納屋の軒下唐辛子
長き夜や深夜放送戦中歌

翠月
秋航や一鍬ごとの重き土 宗白◎
心行く音や夜長のビリヤード 宗古◎
唐辛子干して干しあげ紅の湧き 宗古
折角の飾りを仕舞ふ雨月かな
釣り人の影をゆらして鯊の潮

書に憑かれ時の止まりし夜長かな 宗希◎
滲み出す妖しき紅や唐辛子 武◎
秋桜や風にゆらぎて柳腰
息潜め泥にまみれて鯊の潟
雲去れば今天中の無月かな
箏円
唐辛子妖精達は帽子好き 宗利
桐一葉逝く人はみな雨となる 古○
秋霖や網戸の網目埋めてゆく
甲板の手旗信号鯊はねる
夜長かな母はテレビをつけしまま

美穂子
長き夜や滾るまゝおく煎じ薬
父母の無き敬老の日の菓子求む
風と水密かに騒ぎ鯊日和
下駄揃へ上がる縁側無月なり
唐辛子無口の人の一語増え
武甲
鯊釣りや同床異夢の胸算用 宗◎?
説曲げぬ憲法解釈夜長かな
人為なる種族の危機の雨月かな
唐辛子筵に晒す種の証
学帽に赤い羽根つけ子ら帰る

和博
不惑過ぎ風船蔓まだ青く 白○
目薬を点して読書の夜長かな
鯊釣りの姿も見えず諫早の海
父想ひタオル濡らして墓洗ふ
裸体にて皿に置かれし唐辛子

白美
体育の日誰にも言えぬ五十肩
井月の碑の見つからず月の雨
居間でする美白パックや長き夜
鯊舟や場所を変へても湾の内
唐辛子干して気がかり菜の育ち