原宿句会153回例会点盛り
東人
逃水の瀬戸大橋を渡り切る 宮○白希美
父の忌の父の文机四温光 美正◎
芥子菜を和へて独りを噛みしめる
内裏雛背合せに納めけり
巷めく北方四島地虫出づ

希覯子
四股を踏む少年相撲や地虫出づ 宗白笹和○美◎
雛納め古新聞に虚子選句 宗◎武正
逃げ水や野生動物注意板 宗武和
芥子菜や荒川土提に野生して
百軒の人形の町雛納め

美穂子
病棟のそこだけ目覚め紙雛 宗○武◎笹
啓蟄や土に馴染まぬ白軍手 宗宮武○
芥菜と煎茶で締めの名物膳 宗和
逃げ水や車夫半纏をひるがへし
雛納め出入り少き部屋となる
千恵子
逃水や疑ひ深くなる齢 宗白○正○
蒼きまま暮れゆく春の筑波かな 宗美○
雛納めせし夜の部屋の虚かな 宗美○
観音の御目に罅や地虫出づ 宗正
茹で上げし辛子菜蕾黄の滲む

雛納め雛に還暦古希の無く 宗○白希◎
逃げ水やのらりくらりと答弁し 和◎
露天湯や遥かに由布岳の斑雪 宗宮
ほろ苦き芥菜噛めば母の味
啓蟄や王府井に人あふれ

和博
芥菜や暖色の絵を見るごとく 宗宮武○
印結ぶ指の白さや雛納め 笹◎
啓蟄や追ひ風欲しき兜町 宗武
ジーパンの洗ひざらしや春うらら
逃げ水や昔は我も向う見ず

武甲
樟脳の徳用袋雛仕舞ふ 宗宮◎白◎
啓蟄や鼓笛の音色ぎこちなく 希笹○
地に青き星の瞳や犬ふぐり
逃げ水に先導されて国を出づ
芥菜をきはむ精進料理かな
箏円
芥菜や土間に馴じまぬ簀の子板 宗希○
思ふことすこし遠ざけ雛納め 宗希
杉の花見おろしてゐる藪の中
逃水や国分尼寺跡造成す
春来るを拒む心も我が身かな

白美
背負籠に芥菜括り行商婦
逃水や独歩歩きし道は無く
槍も矢もすでに紛れて雛納め
大福の売り切れの札春なかば
啓蟄やいづれの虫も踏まずおく

翠月
呼ぶ声の響いて春の障子越し
啓蟄や手にしつとりと井戸の水
芥菜の憂ひを秘めし黄の十字
逃げ水や在すや牧場子馬馳け
さまざまな小箱の山や雛納め