156原宿句会例会点盛り
東人
戦死せし猫の墓碑銘合歓の花 正○白
篝火の影の魚めく鵜飼かな
木天蓼の全葉白を極めけり
雪解富士山は高さをあがめられ
水無月の堂守髯を蓄ふる

千恵子
目裏に火の粉のほてり鵜飼果つ 宗希◎利◎
夏富士の影を濃く抱き湖開ける 宗◎室◎
アプト式ありし鉄道合歓の花 ・笹希
脱ぎ切れぬ葉の腰にあり竹育つ ・武○
六月の湖山上に静かなり

白美
水無月や付箋ばかりの執務録 宗○利○笹◎武室
鵜の目より鋭き鵜匠の眼窩かな ・笹◎
轟音をさせて戦車の雪解富士 ・利
折鶴のいろとりどりや合歓の花
咲く花の裏は蕾の扇子かな
武甲
減俸の異動内示や梅雨にいる 宗利宮◎白◎
写メールで詫びる遅刻や合歓の花 ・宮正
川堰の賛否両論鵜飼かな ・白
パノラマの樹海に浮かぶ雪解富士
水無月やフェイスペイント流行る国

巻き舌に捲し立てられ薄暑かな 宗室○笹希○
鵜飼果て川は寂しさ取り戻す 宗白○
化粧無き素顔も美しき夏の富士
合歓蔭に輪車の休む北京かな
合歓閉ぢて太白空に上がりけり

利孟
ペディキュアの首尾良く塗れて薄暑かな 宗古武
水無月の塩羊羹の薄甘み ・古希
雪解不二三島女郎の朱のしごき 宗正
引き出さる鵜のじたばたと蹴る鵜籠
眉掃きの合歓に灰降る桜島
和博
麓より色押し上げて夏の富士 宗◎古武◎
鵜の篝手妻のさばき映しけり
乙女らの歩みゆつくり合歓の花
蛍や草葉の陰と言ふところ
水無月や夫婦喧嘩の果ても無し

美穂子
合歓咲くや項に恋の予感あり 宗古◎正
水無月の風のくぐもる切通し 宗利
きらめくは鵜の涙とも篝燃ゆ
白雲の遠慮がちなる雪解富士
青葉より漏る光繰り水車
翠月
疲れ鵜に情け無情の綱さばき 宗古○
合歓の花抱く山荘の昼深し 宗室
三尺寝夢持ち逃げのバイク音
夏富士のすつきり纏ふ黒衣装
水無月の薄雲の中玉夕日

希覯子
特急の徐行区間に合歓の花 宗宮○
富士見ゆと機長が知らす夏の旅 宗宮
提灯に織田の家紋や鵜飼舟
六月や話題はなべてワールド杯
竹林の七賢いづこ竹の秋

水無月や空一呑みの球技場 宗正◎
鵜篝や舞台役者の裏表 ・室
十薬の闇の声聴く次々と
まぶた閉づされど眠らぬ合歓の花
筆取りし時に薄暮の雪解富士
箏円 青富士や指でなぞりぬ空の中 郭公の声に目覚めをやまよひぬ 人ごころとらへてかなし鵜飼かな 古りし家をあけ渡す日や草引きぬ 道のりは休みもありてねむの花