原宿句会9月例会点盛り
略号無しの○ABCは宗匠選(秀逸が4ポイント)
「略号◎」は互選の天、「略号○」は地、略号は人、天が3ポイント

戸恒東人
撫子や木道にある避難小屋 宮希笹
白秋に三人の妻夕野分 正◎
新郎の父の軽さよ秋の鯖 室○
秋霖や抜き差しならぬ喉ぼとけ
天高しやつこの膝の三里紙

田島筝円
野分過ぎ草木息をととのへり A白◎室◎笹正
秋鯖や「直送」文字のなぐり書き A宮○○室笹◎
撫子の触覚にも似る雌蕊かな A笹
秋霖の玻璃に描きしあみだくじ A白
爽けしや役者顔なる大向う A

小室美穂子
廃校に枠だけの窓秋黴雨 A和○○笹○
隧道に音の暴るる夕野分 B筝○
蟷螂の一つ座を占め甲斐の茶屋 A白
撫子や路地に夕陽の通る道 A
秋鯖や女にもあるのどぼとけ

宮丸千恵子
昼灯す社務所無人や秋黴雨 A希○○室
焼き色の黄金香ばしく秋の鯖 B希
野分晴鎖引きずる迷ひ犬 A希
撫子や河原への道草に消え A
風少し入れて句会や夜の秋

山之内白美
秋霖やくもりのとれぬ老眼鏡 A宮希筝正
卵塔に紅撫子が手向けられ A筝○正
秋鯖の盛られし磁器の白さかな A
紅白のさるすべり伸ぶ庄屋跡 ○筝
野分去り小屋の農具の輝いて

小見山希覯子
新涼や透明定規を文鎮に C宮白室
秋鯖を買ひて暮しは中の中 A正
秋霖や一隅に寄るモルモット A
無惨なり一坪菜園野分あと
撫子やアザラシの名はタマちゃん

藤沢正
秋雨や笠に音聞く露天風呂 A宮○
秋鯖やガード下なる定食や ○白○
撫子や銃後の女性もんぺ穿き A
連山をかすめて甲斐の野分雲 A
驢馬鳴いて甲斐駒ヶ岳夕焼くる

森利孟
予想円の中に台風迷走す B和○
一しづく硯に落とす秋の水
星月夜お届けピザのバイク来て
秋鯖の脂めだるきほどにかな
なでしこやそのたび塵となるお襁褓

笹本翠月
蜩の森から森へリレー鳴き ○正○
電線を鳴かせ野分の近づけり A
秋鯖に酒一服の舌鼓 ○和
街の灯の暮るる速さや秋の雨 A
撫子の取り巻く縁や踊りの音

藤原和博
秋鯖や味噌煮塩焼一級酒 A
秋の雨タイル剥がれた遊歩道
野分あと常と変わらぬ湖明り
白黒の映画ブルース秋暑し
撫子や水緩やかに洗堰