原宿句会11月例会点盛り

利孟
遠目良き舞台の衣装年詰まる 白笹正○宮
前掛けの母の爪立ち聖夜劇 白箏笹○
胸探り尻撫でて良き鴨を選る 白◎和
蔦紅葉ばかり明るき御所の垣 室箏宮
鴨喰ふや封蝋赤き芥子瓶 和宮

美穂子
寒風や頭上まで荷の行商婦 利◎白○箏◎正
山狭のひと村の籠めて落葉雨 箏○和○
まづ辛き地酒一献鴨煮ゆる 利和笹
近道の上り下りや夕時雨 利○
少女らの組む指白き聖誕祭

千恵子
書き込みに辿る記憶や古暦 利○正◎
鴨煮える音に海鳴り遠くなる 利◎室
寒風に顔の一角削ぎ落ちる 利○正
日の当たる枯れ葦原に釣りの人 利○
胸元にガラスブローチクリスマス

白美
鴨鍋や鬼平好みの店構へ 利笹◎正
焼芋やダイアナ妃笑む新聞紙 利○
腰繩にまた括られて北の風
早口で了へる電話の師走かな
星置きていよよ華やぐクリスマス

翠月
鴨鍋の煮込み指南や婆の声 利○室和◎
初霜のベンチに長き指のあと 利○
夕陽追ふ尾越の鴨の群二つ 利○
寒風や口に手を当て市の人
服装の気になる夜やクリスマス

和博
幼子の聖夜に祈り耶蘇の末裔 室◎正箏
えげれすの言葉素通り花八つ手 宮○
日一日冬日の透ける銀杏かな
寒風や頬つぺの赤き子のをらず
炭焼きの獣脂のはじけ鴨の膳

箏円
製材所木っ端ツリーの星となる 室○宮◎
朝霧や烏の声の向き探る
鴨鍋に信濃の夜の香かな
身の巾に落葉集めて道となす
寒風の街角に吾を待ちし人

寒風の沖にはためく大漁旗
大地より身を乗り出して畑大根
シャンゼリゼ聖樹の灯る並木道
火祭の秩父の終夜人いきれ
教会の鐘の音耳に鴨料理