原宿句会175点盛り
白美 酒酔ひの楷書はみ出す初日記 小◎和◎正・◎ 高点句ながら、楷書がどうしても腑に落ち
なくて採れなかった 樟脳の香りかすかに万歳師 利◎ 体重の増したる朝や鳥総松 正○ 毎朝体重計に乗る結果としては正しい
表現だろうが 小柄なる女性警官初不動 箏希 靴べらとともに置かれし福寿草 希 利孟 鳥総松向きを自在の一輪車 希◎箏◎小・ 初不動今年傘寿と七味売り 白小○・ 風息をつけば白鳥鳴きかはす 箏○ 千葉県本埜村の白鳥、筑波颪が激しいのです 咲く色を錣囲ひに福寿草 箏 説明の後万歳の謡ひ出す 正 大寒や固くて開かぬ瓶の蓋 利白◎箏和・○ 点は沢山入ったが、厨俳句として良くある、
大寒が動かないとの評もあるが嵌りすぎでもある 床の間に土牛の富士と福寿草 希○ 立派な床の間です、が、情景を切り取った
だけでそこから先の作為が見えないのです、
この手の句にはありがちですが 犬が来て片足上げる鳥総松 利 ちと、けしからん話で、例えそうでも少しは
配慮しましょう 万歳に明くる三河の国ゆたか 日中も気温上がらぬ初不動 希覯子 鳥総松避けて郵便集配車 利○白○和正 小さな鳥総松を集配車が避けていった、
ほのぼのとしたものを感じます 万歳や都電の客と意気が合ふ 利小和 福寿草鉢のかたへに招き猫 利 靴べらと置くというのもあったが、招き猫の
ほうがめでたさがよろしいか 初薬師地上の電車地下電車 地下電車とは言わない、ごもっともです 下町の足は都電よ初不動 和博 万歳の点(ちょぼ)と太めの太夫かな 利○ ちょっと喰い足りないので余計な手入れを 断崖(きりぎし)の縁を彩り水仙花 利希 素直な句 冬ざれや礎石露な大鉄塔 小正 礎石っていうと、伽藍などを思いますね、コン
クリの土台ってことでしょと指摘がありました 晴天や屋烏の見遣る鳥総松 利 「おくう」で屋根にとまった烏とあります、いやこ
んな言葉を使えるのは偉いというだけでも
点が入りますが、烏というのは元来好奇心が
強いのでちょっとそんな感じがありますよね 福寿草青春十八切符買ふ 青春18切符前にも見たな 美穂子 護摩木書くなかに子もゐて初不動 正◎ 万歳の声裏返り仕舞いけり 利白 鳥総松銅鑼設えし表門 利 鳥総松は土のあるところでなければできない、
合図用に銅鑼が門に掛けてある、なんとも豪壮な
邸宅が思われます 成人の日や尽きぬ波追ふサーファー こういう句跨り、利孟は良くやるので結構好み
なのですが、「や」を句の途中に入れると不自然
さが強調されてぎこちなくなります 福寿草母の遺影とゐて温し 雰囲気のある句だがやはり、「温し」の春と
いう季語性が問題になるでしょうね 箏円 万歳や鼓とかけ合ふ役者声 利 声色かと思ったら作為としては役者のような
よく訓練された声ということらしいがそんな
言葉は無いですね よるべなき者へ誘ひ虎落笛 落ち込んでいると虎落笛までなにやらあり
がたく感じるというのだが、それは読み取れない 福寿草咲き終へしこと今朝知りぬ 問題、福寿草って散りますからね 鳥総松にぎわいの色今すこし 初不動父は日野署で勤め終へ 千恵子 万歳の賑ひ漏れて知事公舎 利◎ これは、意外な視点が實に面白い、私は経験
無いが県警本部長公舎って知事公舎の隣にあることが
案外多くて、うまくくすぐられた感じでもあり、天です 杣道に小さき鳥居や鳥総松 利○ これも、街角でないのが良いね、鳥総の由来
をふまえているし 屋根に置く天水桶や寒昴 利 視線が上ばっかり向いているというのがちょっと
気になるが、黒々した影と、そこはかとない昴はおもしろい 国訛り満ちてストーブ列車かな 利 うん、30年前だね、というような懐かしい光景だが、
あんまり今や国訛りなど前面に出すことが挨拶となるかは
若干疑問 福寿草庭にひたひた夕明り 利 これよく分かる、はいつくばった花だからね、
新年の季語になるくらいのときの福寿草って 翠月 お万歳戸開ける前の鼓の音 利○ なるほど、机上の空論ではありませんね 風音にさらに重ね着重ねけり 利 重ねが二度出たうえに、さらにと駄目押して字面が
うるさいように感じたのですが、最近これが実感として分かる様
になってきました 七十路の夫婦の暮らし福寿草 利 長生きを言祝ぎ入選としますが、この手のあんまり
好きくないんです 出で立ちに置き直しみる鳥総松 真っ白な手袋粋に指長し