207点盛

207回点盛り
利孟
刻みゐる指に辛さの唐辛子 白◎呂◎恵○
秋彼岸傘寿と笑ふ出羽行者 白○直○
貼紙に「ホステス急募」酔芙蓉
皇孫の猛き産声涼新た
「すめみま」とお読みください
片減りの靴の蹠や虫すだく
白美
白芙蓉二戸一軒の家並ぶ 利○美恵◎
一棟縦割りの庭もある家に、
ジューサーに七種の野菜涼新た 利○恵
新しい秋の七種だね、「野草」でなく、「野菜」ですが
校庭に鍬下ろし日や棗の実 利○
校庭を潰して食糧増産、この句だけで判る人は少なくなったでしょう
涸びても内に気骨の唐辛子
涸びてもは理が立ちすぎる
山猿に供華分け賜ふ秋彼岸
お供えを供花と間違えていたということで
恵一
篝火にこめかみ火照る鵜匠かな 利◎呂○美○
火照るは熱で光でないというところがやや?だが、闇と光が見える
新涼や戦旗しづかに五丈原 利白
諸葛孔明だそうで、充分に理解が行き届かないので
ゆふぐれの金泥浴びて花芙蓉 利直
金泥は比喩が直截すぎるか、芙蓉は夕方は花の体をなさないし弱い
秋分の日の本堂に地獄変
地獄変で正確ではあるが、利孟は宗教知識少なく、地獄絵図の方が分かりやすいので
唐辛子ゆれて海星の触手かな
ヒトデの揺れとは随分違うでしょう
大雁塔望む旗亭や酔芙蓉 利美◎白
望む旗楼というだけでは、足りないと思います
扁額の文字のかすれや涼新た 呂美
響くかな、かすれから先に行かないと
秋分やはや灯を点す山の宿
山の日の暮れは早いのはいつものことでは
ナシ族の軒端に吊るす唐辛子
ナシ族は雲南の少数民族
虫の音の高き枕辺山家集
山家集が唐突ですね
比呂四
秋分や西に東に本願寺 利○恵
西に東にでは、全国にみたいなふうで
柔らかき風に浮かされ酔芙蓉
浮かされは、ウキウキあるいは、浮遊みたいで?
惑星の一つ減らされ残暑かな
時の話題ですな
新涼や捲り上げたる袖戻す
ちょっと因果関係が見えて
唐辛子陽射しに向きて逆立てり
武甲
甘露煮の味懐かしき秋彼岸 利直◎
懐かしいという心情は歌わない方が
ジョギングの後の人の輪酔芙蓉
一走りしてきたら色が変っている
長月の朝に取り合ふ号外紙
陽暦九月を長月というかな?、前書きをつけた方が
お湯割りのグラスで泳ぐ唐辛子
美子
芙蓉咲き白き紬に袖通す
芙蓉の頃だから紬の単というような因果関係が読めない方が良い
枯れ切って天井守の赤剛し
枯れるんではないでしょう
空と海つなぐ七島秋の潮
伊豆七島が向こうまで見えて秋らしいですね
新涼や男子新宮生まれけり
事実のみでは
秋分やガラスの花器を仕舞ひけり
秋だからもうガラスはというのは月並み
直人
蜩や母の弱音をもてあます
先斗町路地の奥なる酔芙蓉
先斗町は路地奥が面白いのだそうで
新涼や伯母急変の電話鳴る
あるだろうけど、個人的なことです
色づきし唐辛子採る手篭かな
秋分のもう一献はご先祖へ