四天連衆白美追悼


   


  利孟
白百合といふ銘の茶碗名残雪
立春の笑顔ばかりとなる記憶


  千恵子
入り彼岸白美初めて夢に来て
冥界の白美思へば梅光る
名残雪喪服の真珠くもりがち
乳母車押すかに柩春の雪
献杯の声の不揃ひ花は葉に


  比呂四
ペガサスのごと駆け抜けて春近し
 

  正
競走馬追ひて逝きけり雪女
 

  美子
春摘みの紅茶の香り友偲ぶ
オリオンの棺に羽根のキャプリーヌ
夭折の朱き半襟別れ雪
友逝きて四温日和の所在無し
逆縁の指節榑て名残雪
 

  恵一
海酸漿吹いては君を憶ふかな
 

  義春
ドンペリニョン開け春の夜の更けにけり