第２４３回四天句会
平成２１年１１月１８日

　 　
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兼題　枯蟷螂　秋の暮　牡蠣　 席題　風邪

武甲 床で知る子らの一日流行風邪 泰然と枯れ蟷螂の面構え 残菊を括り祠の屋根普請 音長き下校のチャイム秋の暮れ 牡蠣鍋を仕切りて奉行気取りかな 　 美子 大祭やふくら雀の声透り 風邪の子に貰ひし風邪の長引けり 枯れきらず枯蟷螂の鬼女の爪 日雇の一塊に秋の暮 嫁がせて囲炉裏に牡蠣の爆ぜる音 　 義春 年重ね予防にちから風邪薬 蟷螂や季節に合わせ服を替へ 作業小屋浪の音聞きし牡蠣割女 通勤の歩みは小幅冬めける 空仰ぎ溜息一つ秋の暮れ

比呂四 牡蠣むくや色艶のよき女子衆 枯蟷螂寝るに寝付けぬ五十肩 紅の葉の色の増す秋の暮 ため息や花屋に並ぶシクラメン 　 恵一 暮れなづむ垣に紛るる枯蟷螂 口開けし牡蠣にすかさず醤油さす 音楽室のピアノ途絶えぬ秋の暮 点滴の落つるを見あぐ暮早し 　 利孟 秋の暮五徳十能火の道具 瞑目の人や泣く子や流行風邪 動く気の失せたる構へ枯蟷螂 針金で箍する土鍋牡蛎を煮る 時雨るや妻女添はざる義士の墓